■URL
http://www.hosei.ac.jp/adm/k/eng/kkenkyuka/ITPC.files/frame.htm
左から、平井千秋氏、國井利泰氏、大森健児氏、 金山和男氏、吉田健治氏 |
法政大学は2000年4月より、すでに企業で働いている実務者などを対象に、IT分野の技術者になるための転換教育を行なう1年制の修士課程「ITプロフェッショナルコース」を新設することを発表した。出願期間は2月3日~21日、試験日は2月27日。コース修了者には修士号が授与される。'99年9月に文部省が大学院設置基準を改定し、実務者を対象にした1年制の修士課程が開設できるようになったことを受けてのこと。
ITプロフェッショナルコースでは、コンピュータアーキテクチャやOSの構造、ソフトウェア工学、CG、デジタルコンテンツなどについて講義を行なう。
法政大ではコース設置の狙いとして、IT産業の急激な拡大にともなうIT技術者の不足を挙げており、他分野からのIT分野への転換教育として位置付けている。実際に企業などで活躍する人々を講師などに招き、実務教育を重視していくという。授業はすべて講義と演習の組み合わせで行ない、修士論文のかわりに実際に一つのテーマにもとづき成果物を提出する「ITプロジェクト」課題を設ける。また、企業などで実務に携わる人々を「アドバイザリーボード」として集め、講義のほか、起業家を目指す学生の支援などもしていくという。
現在のところアドバイザリーボードとしては、株式会社バーテックスリンクの金山和男氏、アキア株式会社の飯塚克美氏、株式会社クリーク・アンド・リバーの井川幸広氏、イマジニア株式会社の神蔵孝之氏、NECインターチャンネル株式会社の黒川湛氏、株式会社アスキーの西和彦氏、株式会社オークネットの藤崎清孝氏、株式会社ギャガ・コミュニケーションズの藤村哲哉氏、米Neomagic社のKamran Elahian氏、米Equator TechnologiesのJohn Setel O'Donnell氏の名が挙げられている。また、デジタルハリウッド創立者の吉田健治氏が新しく法政大学情報科学部教授に就任する。
発表の席上で、法政大教授の大森健児氏は「例えば鍛造のようなローテクとされる分野をIT化することでハイテク産業に蘇らせることができる」と従来産業のIT化の必要性を、法政大教授の國井利泰氏は「大学の専門分野で学んだ人以外にもコンピュータサイエンスの基礎を理解してほしい」と実務と教育のギャップを埋める必要性を、金山和男氏は「実務に即した教育が必要とされている。秋葉原での実習といったことも考えられる」と実務教育の必要性を、吉田健治氏は「日本が世界に誇るコンテンツであるアニメとゲームの分野では、デジタル化の点でまだやるべきことがある。そうした分野では実務と同時に教育していくしかない。アニメとゲームの融合した新しいコンテンツビジネスなどを、こうした場から産んでいきたい」と新コンテンツ産業の可能性を、それぞれ違なる立場から語った。
(2000/1/18)
[Reported by masaka@impress.co.jp]