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http://www.neuer-markt.de/
日本や米国と同様に、ドイツでもインターネットやハイテク関連企業、ベンチャー企業の株価が急上昇し注目を集めている。
Neuer Marktは1997年に創設されたハイテク・ベンチャー企業向けの市場。ドイツ企業だけでなく、アイルランド、イスラエル、スイス、英国、米国などの外国企業も上場されている。上場企業数は、98年に60社を超え99年に末には201社(そのうち10%が外国企業)に増加。また、インターネット関連会社は50社以上が上場している。
株価指数で比較すると、DAX指数(時価総額と売上高の規模がドイツ市場の中で最も大きい30銘柄で構成されるドイツを代表する指数)の時価総額が8,652億ユーロ、昨年年間の上昇率が39.1%に対し、NEMAX指数(Neuer Markt市場全銘柄で構成)の時価総額が863億ユーロ、昨年年間の上昇率が66.2%、NEMAX50指数(Neuer Markt市場の中で時価総額と売上高の規模が最も大きい50銘柄が対象)の時価総額が491億ユーロ、昨年年間の上昇率が56.6%となっている。DAX指数の上昇率も悪くはないものの、圧倒的にNeuer Marktのほうが好パフォーマンスを示し人気化した。これは、ハイテク株、インターネット株への投資熱が高まったためである。
2000年企業業績予想に基づく1株あたりの利益倍率(PER)をみると、ドイツ市場の27倍に対しNeuer Marktが74倍と明らかに割高で買われすぎの水準にある。今後もこのような株価水準を投資家が許容できるかどうかは疑問だ。
Neuer Marktの企業は上場基準が特に厳しい。四半期ごとの事業報告、定期的なアナリストミーティングの開催、米国の一般会計基準または国際会計基準に沿った財務諸表の作成、英語とドイツ語両方の情報開示、専属マーケットメーカーの確保などが課されている。
もともと、ドイツの情報開示は、売上高と利益を別の日にバラバラに発表するなど良好でなく、ドイツの会計基準も批判が多い。そのためNeuer Marktは厳しくしているのだが、実際はNeuer Marktも情報の質に疑問があるほか、情報過多によりアナリストの評価・カバレッジにも限界があるという問題が起こっている。
投資家から見れば、正確なことが分からないためリターンの期待感のみが突っ走りやすい状況ともいえる。潜在的な期待感のみで投資行動を起こす向きが多く、新技術などに対する投資家の理解度は低いという。
このため、投資リスクは極めて高いものの、規模が大きくなったことによる指数銘柄の入れ替えや、前倒しされる税制改革(キャピタルゲイン税の廃止の動きも)、M&Aなど、需給要因により短期的にはこのまま上昇が続く可能性もある。いぜれにしても、ボラティリティー(変動)の高い展開となろう。
一方、Nasdaqが欧州進出に意欲的で第4四半期には創設される予定。ヨーロッパには英国とベルギーが作ったEASDAQがあるが投資家の関心をひきつけられず、1996年に創立も登録企業は未だ55社に過ぎない。このEASDAQは今年、Nasdaq・ヨーロッパに総合される可能性もあるとみている。
Neuer Marktにとっては、年前半は優位性を保つが、その後脅威となる存在で初めての試練となりそうだ。成長市場の競争が激化しヨーロッパ市場の流動性が分散される可能性もある。
(2000/2/3)
[Reported by betsui@impress.co.jp]