「いざ」というとき、どのくらいの人がインターネットを利用するのだろうか。利用する人でも、その場面になってから検索サイトやリンク集で必要な情報をそれなりに苦労して探し出すことだろう。いざというときに、そこまでの労力を使えるだろうか。
そこで、「いざというときのインターネット」と題して、そんな時にもインターネットが役立つようシリーズでサイトを紹介していく。具体的な場面などを設定しながら、いざというときに必要なサービスや情報、知識がこの特集を見るだけで分かるようにしていきたい。
第1弾は、「いざというとき」に最も当てはまる冠婚葬祭、そのなかでも、突然やってくる「葬儀」をとりあげる。生前に自分が死ぬ時、もしくは死んだあとのことを考える人はごくまれだろう。葬儀を執り行なう遺族にしても、葬儀に参列する人にとっても、突然に不幸がやってくることが多い。もちろん、葬儀に詳しい人がそばにいて、いろいろと采配してくれたり、相談に乗ってくれる場合は良いが、そういう人ばかりではない。その時になって、いざインターネットで調べても遺族などは探しだす気力すらないかもしれない。そうした時にそなえて、今回は葬儀に関連することを取り上げる。
●ポータル的な総合サイト
■ご贈答マナー
タカ印紙製品(株式会社ササガワ)のWebサイト。婚礼関係から通夜、葬儀、法事、一般祝事、慶事、お見舞い、お中元、お歳暮、お年賀、お年玉まで、幅広くマナーを取り上げている。このサイトだけを見ても事足りるかもしれないほど充実している。慶弔事では、神社やお寺、教会ごとのやり方やマナーもきちんと分けて説明してあり、表書きの書き方など細かい部分についても解説。また、各行事ごとの贈答等の金額についても、銀行が調べた平均額や最高額などのデータも掲載している。「厳選!生活情報&冠婚葬祭リンク」などリンク集も充実している。
■冠婚葬祭kankon
冠婚の部と葬祭の部に分けて説明。結婚記念日の名称と年数、忌日表など知識的なことから祝儀や香典の金額、スピーチ・挨拶などが掲載されている。「困った時のQ&A」では具体的な場面や事柄ごとに回答。
■冠婚葬祭大全
URLのとおり、冠婚葬祭について「人生祝い事辞典」、「マリッジ・フォーラム」、「葬儀大辞典」の3つのコンテンツを用意している。人生祝い事辞典では子供、婚姻、新築などの祝い事を説明。マリッジ・フォーラムでは、式場情報から結婚に関わるさまざまなデータやマニュアル、相性診断、おみくじなどがある。結婚記念写真の公開や結婚式レポートなどフォーラムのコンテンツもある。また、葬儀大辞典では手順やしきたりなどのほか、葬儀フォーラムを用意。
■お葬式プラザ
葬祭サービスを展開するセキセーのWebサイトで、葬祭に関するさまざまな情報を中心に掲載しておりメディア系といえるかもしれない。葬儀に関するしきたり、葬儀に関するプロの紹介、葬儀に関する相談コーナーなど一般的なものをはじめ、擬似的に葬儀を体験できる「バーチャル葬儀館」、臨死体験を紹介する「あの世タウン」、死にまつわる研究を紹介・募集する「死の総合研究所」などがある。特に、同社は宇宙葬の日本総代理店となっており、宇宙葬を詳細にレポート。Real PlayerG2による宇宙葬ロケット打ち上げの映像もみることができる。また、宇宙葬のみならず、海への散骨、森への納骨なども映像付で解説・募集している。ほか、葬儀業者で情報開示度の優良先やその内容を調査して評価した「葬祭サービスの評価格付」もある。
●人が亡くなって最初にすること
これが済んだあと、医者に死亡診断書を書いてもらわなければならない。つまり、人が死んで最初にしなければならないことは死亡診断書を発行してもらうことだ。このとき、医者からは「死亡診断書は何通必要ですか」と聞かれることだろう。何通ですかと聞かれても、詳細が分からない向きは戸惑う。役所などへの届け出、生命保険会社への届けなどで現物が必要なので3通はとっておきたい。
死亡診断書のあとは、病院からの遺体の搬出である。以前は、遺族自らが運び出すこともできたが(地方自治体の条例によって差があるようだ)、現在では基本的に遺体搬出許可書を持っていないと搬出できない。この許可は、通常葬儀社が受けている。医者は「どうしますか」と一応聞いてくる。しかし、たいていの場合はその病院と契約している葬儀社が搬出することになるケースが実際にはほとんどだろう。医者が強制するわけではないが、葬儀・告別式を頼む葬儀社が決まっていたとしても、結果的には病院と契約している別の葬儀社が搬出を行なうこともあるわけなのだ。届出などに関しては、以下のWebサイトにも目を通しておきたい。
●通夜、そして葬儀・告別式
どちらの場合でも、このときに必要なのが火葬証明書。これがないと火葬できなくなる。家の場合でもたいていは業者が入るので、証明書の手配は業者に任せることになろう。また、このときに、役所等への届出のも業者が代行してくれる。火葬証明書は、火葬のあと遺骨を埋葬する時に許可書としても扱われ(いってみれば納骨許可証の意味合いになる)、例えばお寺の場合は最終的に僧侶の手に渡る。
ここで、少し注意しておきたいことがある。亡くなってからいろいろと重要な書類が必要になってくるが、これらはすべてコピーを取って手元においておきたい。もちろん、提出する際にコピーでは受け付けない場合がほとんどだが(年金などはコピーでも可能なようだ)、何かあった場合に備えたい。特に、火葬証明書は何枚も発行されるものではない。そして、現物は他人の手に渡ってしまう。このような書類は必ずコピーを取っておきたい。なお、火葬ではなく土葬の場合は別途埋葬許可証が必要になる。
●葬儀社などの選び方
■葬儀ベストネット
全国約5,000社の「全国葬儀社ガイド」、提携の葬儀社や新聞・通信社の訃報情報を検索する「お通夜告別式案内」、葬儀に関する用語解説の「葬儀辞典」などを掲載。その中で「葬祭マニュアル」では弔問マニュアルと遺族マニュアルに分かれ、さらに仏式、神式など流派ごとに葬儀の流れが解説してある。また、変わったところでは約800社の「全国ペット葬儀社案内」も掲載。
●マナーや費用などのWebサイト
■遺族のための知識
ポータルにあるご贈答マナーの中にあるコンテンツ。遺族のために役立つ知識「いざという時の手続きマニュアル」は本当に役立つ。葬儀社の選び方や葬儀の段取りから、生命保険、相続、年金など各種手続きのノウハウが詳細に説明されている。
■マナー教えて知りたい講座
礼状の書き方から電報の打ち方、席順、服装など、冠婚葬祭に係る各種マナーが例やポイントをあげて詳細でありながら見やすくまとめられている。
■儀式110番
伊勢丹が提供する儀式110番。「贈り物のマナー」、「誕生から長寿までの祝いごと」、「結納から結婚後の挨拶回りまで」、「通夜から法要の引き物まで」、「その他のできごと」、「季節の主なご挨拶」の6章に分かれQ&A式で説明されている。
●文例集や役所など
■Kokoro-Wet
葬儀と葬儀後に役立つ情報を提供するサイト。「全国葬儀社一覧」、「寺院・斎場の地図」、「お天気」、「葬儀の知識と心得」、「墓所・霊園一覧」、「葬儀の目安」などのコンテンツがある。首都圏が中心で、まだ情報がそろってないところもあるが、役所・保険・銀行・免許などの各種手続き・届けを必要とする事項をまとめておく際に利用できる「各種手続き・届け・手配依頼書」など各書式集をダウンロード(WORDファイル)することができる。ほかには、葬儀や遺言、相続などに関する掲示板も用意されている。
■敬裕社
「葬儀の流れ」から「文例集」、「葬儀の心得」、臨終から葬儀後までの「良くある質問」などを掲載。
■一般の手紙
さまざまな文例集。
■直子の代筆
冠婚葬祭ほか各種の文例が作成できる。ユーザー登録すると個人情報が文章に反映される。また、冠婚葬祭豆知識辞典も掲載されている。
■都道府県庁
ヤフーの全国都道府県庁一覧。
■市区町村.com
全国各市区町村役場のリンク集。
■日本の銀行
日本の銀行関連のリンク集。
■生命保険会社
ヤフーの生命保険会社一覧。
■日本弁護士連合会
日弁連のWebサイトで全国の法律相談センターなどがある。
■全国優良石材店の会
日本で唯一の墓石業全国組織である全優石。お墓を作るときのポイントや知識を掲載し、フリーダイヤルによる「お墓なんでも相談」も行なっている。
■解決ゾロ
Web現代の「解決ゾロ」のコンテンツで、冠婚葬祭を扱ったサイト。膨大なリンク集ともいえる。
(2000/2/10)
[Reported by betsui@impress.co.jp/watchers]