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http://www.maa.gr.jp/
http://www.jasrac.or.jp/
3月7日、メディア・アーティスト協会(MAA)は、都内にて「仲介業務法改正に関するパネルディスカッション」を開催した。パネラーとして、音楽家の坂本龍一氏、社団法人日本音楽著作権協会(JASRAC)常任理事 加藤衛氏らが出席し、著作権管理業務の将来像などについて議論が交わされた。
このパネルディスカッションの開催には、1月に文化庁の著作権審議会内に組織される専門部会「集中管理小委員会専門部会」から提出された「最終報告書」が大きなきっかけとなっている。最終報告書は、著作権管理業への参入について原則自由化を求めるなど、これまで60年以上続いたJASRACの独占体制を変える可能性を持つ大変重要なものだ。今通常国会にて提出され、審議が通れば、従来からの「仲介業務法」は改正されることになる。
アーティスト自らの団体であるMAAでは、これまで、著作権管理委託における選択肢のなさなどから、JASRACの独占体制に批判的立場をとっていた。新たな著作権管理団体の誕生も可能になる今回の最終報告書には、期待すると同時に、実際の効力を懸念するスタンスをとっている。
この最終報告書に対して、ミュージシャンでありMAAの事務局長も務める松武秀樹氏は次のようにコメントしている。
「著作権審議会の最終答申は競争原理の導入を明確にし、かつ著作権の委託契約約款のあり方に関して、『委託者に作品や支分権毎の選択権を認める必要あり』としたことは高く評価している。しかし、競争を導入しても音楽の世界でJASRACと対等に競争し得る組織がすぐに登場するとは考えられず、著作権審議会の最終答申の精神を実現するには、さらに踏み込んで、JASRACのような既存の独占団体に対する強制的措置が検討されるべきである」
(左から)佐野氏、坂本氏、バラカン氏、加藤氏、吉田氏
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このような背景も踏まえつつ開催されたのが、今回のパネルディスカッション。パネリストには、音楽家/MAA運営委員として坂本龍一氏、佐野元春氏のほか、JASRAC常任委理事の加藤衛氏、文化庁長官官房 著作権課長の吉田大輔氏、過去に音楽出版社で著作権業務を担当したこともあるというピーター・バラカン氏の5名が出席した。
ディスカッションでは、従来の仲介業務法に代わる、「著作権管理事業法(仮称)」(文化庁の試案)に盛り込まれた内容などを元に議論が進められた。ここでは、主に音楽分野について多く時間が割かれ、JASRACの業務の現状、課題、そして将来について、双方から活発な意見が交換された。なお、最終報告書では、音楽以外の著作物についても仲介業務団体が著作権を管理することが盛り込まれている。この件については、写真家、ゲーム作家、漫画家、CG作家など会場に来ていた各分野のアーティストから「自分の分野に本当に仲介業務団体が必要かどうか疑問」などの意見が出た。
なお、仲介業務法の改正については、通常国会にて審議される予定だが、今国会が解散・総選挙となった場合、先送りされる可能性もある。
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(2000/3/8)
[Reported by okiyama@impress.co.jp]