社団法人日本情報システム・ユーザー協会(略称・JUAS、以下同)は、「企業情報化実態」の2000年度調査結果報告を行なった。この調査は'93年から毎年行なわれており、今回は昨年11月から今年2月までを期間として、中~大企業を中心とした数百社からの回答を得てまとめたものだ。設問は情報化投資からシステム利用形態、セキュリティやEC関連まで多岐に渡るが、ここでは注目の結果をいくつか取り上げてみよう。
まず企業の電子メール・ホームページの対応状況について。電子メールは昨年度の81%から93%へアップし、さらに前年度は存在した「必要性を認めない」企業は、今年度はついに皆無となった。ホームページを開設している企業も昨年の67%から79%に上っている。
IT関連予算は43%の企業が増加すると答え、さらにネットワークインフラ関連費用は54%の企業が増加すると答えている。ハードウェア関連では7割以上の企業が新規投資を計画中だ。2000年問題で投資や新サービス導入にブレーキのかかった昨年度と比べると、企業側も積極的といえる。
反面、今ひとつと言えるのが、セキュリティ対策。システムセキュリティ費用について「特に予算化していない」と答えた企業が57%と6割近くに上るほか、「システムセキュリティへの専任部門・要員がいる」と答えた企業は9%と1割に満たない。今後の改善が望まれるところだ。
また電子商取引も、対応が遅れている分野だ。BtoBでは44%の企業が実施という結果だが、うちインターネット利用は38%。全体から見るとわずか17%の企業のみだ。さらにBtoCとなると全体の10%しか行なっていない結果となった。その理由として、BtoBでは旧来のEDI(電子データ交換)がインフラとして主流なこと、BtoCでは既存の販売チャネルとの兼ね合いが難しいといった問題が指摘されていた。
今回の調査についてJUAS調査部会の保科好信氏は「回答した企業のうち数十社には直接インタビュー取材を行なった。その際にセキュリティの話は必ずと言っていいほど出るが、予算などにはまだ反映できていない状況にある」と述べた。また電子商取引分野で、BtoCが思ったより低いのではとの声に「調査対象に一般消費者向け事業は行なっていない企業も多いので、前年度(1%)からの伸びという面では評価できる」と答えていた。
(2000/4/24)
[Reported by aoki-m@impress.co.jp]