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【オンライントレード/業界動向】

ナスダック・ジャパン、直前で問題が噴出か~オンライン証券は不満の声も

■URL
http://www.ose.or.jp/sijyo/sj_nj.html
http://www.nasdaq.co.jp/

 この先、インターネットが一般の社会に当たり前のように浸透しそうだが、そういった世界が到来した時の証券取引所・市場はどうあるべきだろうか。

 6月19日から、大阪証券取引所のナスダック・ジャパン市場で売買が開始されるが、ここに来て問題が台頭している。東証マザーズのときもみられたが、今回もオンライン証券会社では売買が行なえないケースが多い。場合によっては、マザーズのときよりも学習効果がある分もあわせて考えると、かなり問題かもしれない。

 とりあえず、初日から売買がオンラインで行なえる(売りも買いも注文が出せる、つまり、これまでと同様に注文が出せる意)予定と確認がとれたのは、Eトレード証券、大和証券(ダイワダイレクト)、日興ビーンズ証券。日興ビーンズ証券は、マザーズのときもそうだったが「売買が初日から行なえるようシステム面を対応させるのにかなり苦労した」としている。

 確認できない部分で、これ以外の証券会社でも初日からオンラインで売買注文が可能な証券会社はあるかもしれない。ただし、オンラインで行なえるか、行なえないかにかかわらず、対面営業を行なっている証券会社は最悪でも取引を行なわなければならない状況に置かれれば、手作業で店頭のほうに注文を回すことは可能だろう。

 オンライン専業の証券会社はそういったことはできない。ほとんどのオンライン専業証券会社は、実際に初日からは売買ができない。

 これが、東証マザーズのときよりも大きな問題を引き起こす。東証マザーズのときは、単位株制度に端を発して、1株あたりの株価が高い(最低投資金額が高い)ことが、システム的にも問題にされた。ナスダック・ジャパンの場合は、店頭市場から取引市場を替える銘柄や重複上場もあることが問題で、投資家がこれまでオンライン証券会社で売買していた銘柄が、6月19日になったとたんに同じ証券会社で売買ができなくなるケースが考えられるためだ。

 多くのオンライン証券会社では、これに対応するためインターネットではなく電話による注文を受けるかたちをとるようだ。マネックス証券では重複上場や店頭からの乗換銘柄があるため、電話による売り注文だけを扱うが、基本的にオンラインでの売買は行なわない考えとしている。松井証券も電話で売り注文だけ受ける予定。DLJdirect SFG証券は、電話による売り買いの注文を受けるとしており、おそらくシステムが対応できる7月中旬からオンラインでも売買注文が可能になるようにしていきたいという。

 証券会社にヒアリングしてみると「自社のシステムを取引所(大証)とマッチングさせることがプロトコルの問題など非常に難しい」、「株価の時価情報料などの面がどうなのかなど不透明な部分が多い」などの声があった。

 とりあえず、大証のシステムを使うということで、システム上は他の既存の大証の銘柄と同様になると考えていたところもあったようだが、どうやら違うようだ。現在、東証と会員証券会社との間で価格論争となっている情報料についても、ある証券会社はナスダック・ジャパンから「1口座数1,000円なんてとんでもない価格を提示された」と憤っていた。東証の場合、証券会社は基本料として月額固定料金120万円と、ネット口座数1口座につき180円を負担しているが、この価格改定が現在論じられているのだ。

 ほかに、証券会社から共通して聞かれたのが「証券会社に対して大証およびナスダック・ジャパンから説明があったのは取引開始直前になってからだけで、それも十分なものではない」ということ。かなり以前から自らが問い合わせをした証券会社も「疑問点などを聞いても、問い合わせる証券会社によってその返答はケース・バイ・ケースのように思われて仕方がない」というところもある。もうひとつ、「何の滞りもなく順調に準備を進めることができたのはEトレードだけだろう」という声も多く聞かれた。これは、単に妬みなどから来る声だろうか。いずれにしても、憤りや不信感などを募らせている証券会社は少なくないようだ。取引初日にオンラインでの売買注文が行なえない証券会社があることは、単純に証券会社の怠慢とはいえないだろう。

 いずれにしても、投資家にとってはナスダック・ジャパン開設によって円滑な売買が保証されない可能性もあるわけで、この点は取引市場の存在としては根本の部分。投資家にとって取引所・市場とは、売買したいときにいつでも円滑・迅速で公平な取引が保証されていること、つまり流動性が確保されることが重要なのだ。ディスクロージャーなどは、本来企業側の問題であろう。

 また、店頭市場からナスダック・ジャパンに鞍替えする企業の中に「ブランドイメージを高めるため」ということを理由に挙げている企業もあり、確かにそういった面がまったくないとはいえない。しかし、投資家として頭に置いておかなければならないことは、取引所・市場が変わったからといってその企業ががらりと業態を変えるわけでもなく、まして業績が急速に伸びるわけでもないことだ。

(2000/6/16)

[Reported by betsui@impress.co.jp]


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