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【業界動向】

ナスダック・ジャパン市場が売買開始~東京記者会見

■URL
http://www.ose.or.jp/sijyo/sj_nj.html (大証ナスダック・ジャパン市場)
http://www.nasdaq.co.jp/ (ナスダック・ジャパン)

東京の会見に臨む市場関係者と上場企業の代表
 大阪証券取引所・ナスダック・ジャパン市場の売買が19日に開始され、朝方は大阪でオープニングセレモニーが行なわれたが、夕方からは東京で記者会見が開かれた。会見は2部構成で、はじめにナスダック・ジャパン市場関係者が、その後上場8社が答えるかたちとなった。

 まず、大阪証券取引所理事長の北村恭二氏は「8銘柄を同時にスタートさせることができ、システムトラブルもみられなかった」と述べ、とりあえず売買が無事に行なわれたことにほっとしていたようだ。そして、「まだ第一歩を踏み出したに過ぎず、市場間接続など今後に向けてまだまだ残された課題は多く、できるだけ早くこれらの課題を詰めていきたい」と語った。

 次に、ナスダック・ジャパン代表取締役社長の佐伯達之氏は「昨年6月15日に孫氏とザーブ氏が東京でNasdaqのジャパンを開設すると発表したときにはまだ傍観者だったが、日本を変えるという孫さんの言葉を熱い気持ちで聞いていた」と振り返り、「本年1月に社長に就任してからは正直問題も多く宣言した開始時期を守れないのではないかと考えるときもあった」と苦労のほどを語った。その上で「日本を変えるためにもナスダックは成功し続けなければならない」と述べた。

ザーブ氏、憤る場面も
孫氏
 また、全米証券業協会のフランク・ザーブ氏はナスダック・ジャパンについて「今のところ順調に進んでおり、投資家からも信頼されているが、量よりも質が重要で、慎重に管理・運営し数年かけて規則を守りながら拡張していきたい」と述べた。

 さらに、ザーブ氏は「米国企業にもっと日本に上場をしてもらいたいと考えており、実際にNasdaq100銘柄(原則として時価総額上位100社)の企業とはその点について話し合っており、それらの企業のほとんどが日本に上場したい意向をもっている」と語った。向こう6ヶ月間の内に、米国企業をナスダック・ジャパンに上場させたいようだが「資料の言語が英語のままではだめなことなど、規則上の問題がいろいろとあって難しい面もあるが、これらはすべて政府間レベルでの問題で、その交渉次第の進展次第となろう」とした。

 一方、ソフトバンクや孫氏の影響力、私市場化の懸念など、ナスダック・ジャパンに対して批判がでている点について質問が及ぶと、ザーブ氏が憤りの表情をみせた。この件に関して日本ナスダック協会副会長を務める孫正義氏は「当然ソフトバンクは株主として不当に市場に介入してはならない」と簡潔に答えた。

 このあと、ザーブ氏が続き「孫さんはこのように紳士的に答えているが、非常に不愉快な質問だ」と強い口調で反論し、「そういう批判をするのはライバルの企業が論理もなく単に騒いでいるか、何かほかのことを引き出そうとしているためで無責任な質問だ。米国の場合、メリルリンチをはじめモルガンスタンレー・ディーンウイッターなどもNasdaqに出資しているが、市場の健全性は確保されている」と述べた。

 ここで、会見者が入れ替わり、この日ナスダック・ジャパンに上場した8社の代表者が臨んだ。

 この日の8社の取引はすべて値段がつき、初値がなかなかつかなかった東証マザーズのようにはならなかった。8銘柄の中で、公開価格もしくは基準値段を上回ったのはエックスネット(4762、直接上場)、デジタルデザイン(4764、直接上場)、ホンダベルノ東海(7593、名証2部重複)、スギ薬局(7649、直接上場)の4銘柄で、変わらずがドン・キホーテ(7532、東証2部重複)だった。このうち、デジタルデザインとスギ薬局はストップ高となる場面もあった。

 半面、軟調で公開価格・基準値段を下回ったのがマスターネット(4697、店頭から移籍)、クリーク・アンド・リバー(4763、直接上場)、デジキューブ(7589、店頭から移籍)の3銘柄。クリークは、8銘柄のなかでもっとも早く初値がついたが、終値では公開価格を下回ってしまった。店頭経由の銘柄は2社だけだが、どちらもいわゆるご祝儀相場とはいかず相対的に軟調な展開となった。投資家は冷静だったといえるのかもしれない。

銘柄名
銘柄属性
公開価格
(円)
始値
(円)
高値
(円)
安値
(円)
終値
(円)
前日比
(円)
売買高
(株)
マスターネット
(4697)
店頭経由
1,950,000
S 1,650,000
1,650,000
1,650,000
S 1,650,000
▲300,000
18
エックスネット
(4762)
直接上場
5,500,000
6,000,000
6,500,000
5,480,000
5,750,000
250,000
463
クリーク・アンド・リバー
(4763)
直接上場
3,500,000
3,540,000
3,600,000
3,300,000
3,480,000
▲20,000
288
デジタルデザイン
(4764)
直接上場
1,500,000
1,700,000
1,800,000
1,600,000
1,800,000
S カイ
2,000,000
300,000
270
ドン・キホーテ
(7532)
東証2部経由
15,390
15,400
15,500
15,390
15,390
0
600
デジキューブ
(7589)
店頭経由
2,850,000
2,900,000
2,900,000
2,800,000
2,800,000
▲50,000
5
ホンダベルノ東海
(7593)
名証2部経由
1,305
1,350
1,350
1,349
1,349
44
6,000
スギ薬局
(7649)
直接上場
7,000
8,000
9,000
8,000
9,000
S カイ
9,000
2,000
651,000
売買高合計
658,644
青字は基準価格、つまり他市場からの移籍・重複銘柄
前日比は公開価格もしくは基準値段との比較

 会見では、各社が一言ずつこの日の取引や今後の展開などについてコメントを述べた。

エックスネット 吉川征治取締役社長
http://www.xnet.co.jp/
「取引が開始されほっとしている。まだまだ企業も小さいが今後投資家の期待に応えて成長していきたい」

クリーク・アンド・リバー 井川幸広取締役社長
http://www.cri.co.jp/
「わかりにくい業態なのでIR(投資家向け広報)を積極的に行なっていく。株価終値は公開価格を下回ったが、業績を伸ばすことで評価されていくだろう」

スギ薬局 杉浦広一取締役社長
http://www.drug-sugi.co.jp/
「株価は高い評価を受けた。業績を伸ばし投資家や顧客、従業員に喜んでもらいたい」

デジタルデザイン 寺井和彦取締役社長
http://www.d-d.co.jp/
「株価はよい評価をいただいた。今日を新たなスタートラインとして更なる飛躍を遂げていく」

デジキューブ 染野正道取締役社長
http://www.digicube.co.jp/
「株価は1日では語れない。ナスダック・ジャパンのフェーズII(ハイブリッド型システム)、フェーズIII(グローバル化)はデジキューブの業態に合っており市場を一緒に盛り上げていきたい」

ドン・キホーテ 安田隆夫代表取締役
http://www.donki.com/
「株価は水のような心境で、出来高は初日だからといって必ずしも増えるわけではない。今後は業績だけでなくIR活動に専念していきたい」

ホンダベルノ東海 高橋一穂取締役社長
http://www.vernotokai.com/
「相場は1日だけで一喜一憂しない。今後は自動車業界の低成長イメージを払拭させていきたい」

マスターネット 西久保愼一取締役社長
http://www.masternet.or.jp/
「株価が下がって残念。今後は業績の向上を目指すだけ。インターネットを通じたIR活動も努力していく」

 株価の好不調で発言の内容は分かれたが、8社同時会見ということもあってか、全体的に「余計なことは言わない、口にしない」との雰囲気が強く感じられ、いずれの企業も極めて短いコメントに終始した。

上場8社の代表

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(2000/6/20)

[Reported by betsui@impress.co.jp]


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