■URL
http://www.napster.com/pr.html
http://www.riaa.com/napster_legal.cfm
音楽ファイル交換ソフトの米Napster社は、カリフォルニア地裁の判決を前にした訴訟事件適用書の中で、「Napsterを違法」とするレコード業界の意見に異を唱え、音楽を非商用目的で共有することは「一般的、合法、かつ認められている」などと主張している。
Napsterは、同社のサーバーを介してユーザーの保有するMP3音楽ファイルを「交換」できるソフトを提供している。膨大な音楽ファイルが検索可能で、違法にコピーされた音楽が流通しているとしてRIAA(米国レコード協会)らが、著作権を侵害するものとして違法性を指摘していた。
今回Napster社が発表したプレスリリースの中では、「Napsterが合法である」ことを主張する要旨を6つに分けて述べており、かつてソニーが米国でベータマックス方式のビデオレコーダーを販売しようとした際に映画業界から著作権の侵害として訴訟となったいわゆる「ソニー判決」や、言論の自由を保障する米国憲法修正第一条などに基づいて反論を展開している。Napsterの主張は以下の通り。
第一に、RIAAは、Napsterユーザーは著作権侵害を犯していると言うが、消費者は非商用目的であればデジタル音楽を複製したり、転送したりできる絶対的な権利があることが、いわゆる「Diamond判決」で認められている。「Diamond判決」とはMP3プレイヤーを製造することが合法かどうかを争ったRIAAと米Diamond Multimedia社の裁判のことだ。従って、Napsterユーザーが違法なことをしていない以上、Napsterは著作権侵害に手を貸しているとは言えない。
第二に、Napsterは無数の著作権侵害とは全く関連のない用途に用いられているということだ。1984年にソニー判決で指摘されたように、そのテクノロジーが「本質的に著作権侵害をしない用途に使用可能な物」であれば、たとえ著作権侵害を助長するような言動がどこかであったり、実際に著作権侵害活動に使用されたとしても、そのテクノロジーを開発した者を著作権侵害で有罪にすることはできない。
第三に、Napsterユーザーは、一般に音楽を試聴するなど「Fair use」(文献を引用したりする権利などで一般に使われる法律用語)に則った仕方、あるいは「space shifting」(ディスクドライブや再生機器の間でファイルを共有したりする使い方)に則っており、何ら問題は生じ得ない。Napsterの調査では、84%のユーザーがCDを買いたいかどうかを判断するために音楽ファイルをダウンロードしているとしており、試聴がNapsterユーザーの主な利用方法であることは原告RIAAでさえも認めている。
第四に、原告はMP3ファイルの共有を奨励しながら、その共有行為を独占しようとしている。例えば、米ソニーの音楽プレーヤー「VAIO Music Clip 」は頓着なく音楽ファイルを扱えるようになっており、宣伝では、「ATRAC3でもMP3でもWAVでも、好きな音楽サイトにログオンしてダウンロードしよう」と謳っている。
第五に、米国憲法修正第一条で保証されている言論の自由により、Napsterに対していかなる命令をも発することはできない。Napsterが提供しているのはNapsterユーザーがその時点で共有できるようにしているファイルのディレクトリーであり、このようなディレクトリーは米国憲法修正第一条により保護されている。Napsterのディレクトリーが電子的でインターネット上に存在すると言うことはこの分析を変えない。
最後に、命令が発せられればNapsterに害が及ぶだけでなく、原告を利することもないので、そのような命令を行なうことはできない。Napsterが、原告が被害を被っていないこと、あるいはその被害が微少であることを証明できれば、命令を発することができないことは法の下に保証されている。
Napsterはこうした論述だけでなく、多数の識者の意見を公開しており、こちらも同社のサイトからダウンロードすることができる。
(2000/7/5)
[Reported by taiga@scientist.com]