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【INET 2000レポート】

INET 2000でCisco社CEOが基調講演、「5年後への準備はできているか?」

■URL
http://www.isoc.org/inet2000/plenaryspeak.shtml#AY
http://mc-net.jtbcom.co.jp/inet2000/jptop/#schedule

Chambers氏 横浜で開催されたインターネットの国際会議「INET 2000」で20日、米Cisco社CEOのJohn Chambers氏が「The Explosive Grouth of the Internet(インターネットの爆発的成長)」と題した基調講演を行なった。インターネットの急速な進歩と成長を軸に、企業や政府はどうするべきかを語るもので、学術色の強いINET 2000の中ではやや色合いの違った講演となった。

 Chambers氏はまず、一般に「ニューエコノミー」などと呼ばれる、米国のインフレなしの好景気を紹介し、これをネットワーク効果だとした。また、アジア諸国でのIT関連投資とGDPを重ねたグラフを示し、両社に相関関係があるとした。例えば、韓国は経済危機のときにIT投資を減らしてGDPが低下したが、再びIT投資を増やして回復したと説明した。

 一方日本について、2年前の時点でIT投資などITへの対応が遅れたため、どんどん米国との差が開いていったと指摘。また、日本は回線や無線などにおいて規制緩和がなされていないと批判した。

 一方、企業については「数年後には全ての企業がEカンパニーになる」と語った。氏によると、これは「ブリック&モルタル(店舗などを構えての従来型事業)」がなくなるという意味ではなく、「クリック&モルタル(店舗などとネットを併用した事業)」になるという意味だという。そして「インターネット化によって『生き残る』ことを考えるのが重要」と説明した。

 そうしたインターネット化をもたらすインターネットのアプリケーション(利用方法)として、第1波「E-commerce」(電子商取引)、第2波「Virtual Manufacturing & Virtual Close」(リアルタイムで決算がわかることによる仕事のサイクルの変化)、そして第3波「E-Learning」(オンライン学習)を挙げた。

デモ画面 さらに、これからのインターネットアプリケーションとして、すでに一部の通信会社が進出しているような、音声・画像・データをIP通信上に統合した通信技術を挙げ、例としてIPベースの電話機をデモした。これは、液晶画面のついた電話機がインターネットにつながっており、そこからインターネット電話(VoIP)やインターネット接続(Web)などが使えるというもの。デモでは、Chambersの社員情報を検索してみたり、釣りの情報をブラウズしたりしたほか、ライバル会社のLucent社の株価を検索するというジョークで笑いをとった。

 最後にChambers氏は、「Are You Ready?」という言葉を掲げ、企業は、そして政府は「5年後への準備はできているか?」と問いかけて講演を終えた。

(2000/7/21)

[Reported by masaka@impress.co.jp]


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