横浜で開催されたインターネットの国際会議「INET 2000」において、各国で次世代高速バックボーン構築の実験に携わっている人達によるパネルディスカッション「NGI Research Projects: What's New, What's Next and What Works?」が開かれた。カナダのCANARIEによる「CA*NET3」、オランダのSURFnetによる「GigaPort」、アメリカの「Internet2」、日本のWIDEによる「JBプロジェクト」、チリの「REUNA」が紹介された。
CA*NET3とGigaPortは、それぞれの国で光ファイバーによる高速バックボーンで全国を結ぶ研究ネットの実験を紹介した。それぞれ研究資金などにより従来より速いバックボーンを構築しているが、「last mile」(ユーザー側の最後のアクセスライン)の高いコストなどが課題(SURFnet)という。
チリのRENNAは、20の国立大を結んでいるという。そして、米国との国際回線が非常に高価だという問題や、IPアドレスの高価さ、予算の少なさなど、自国のインターネットの問題点について語った。
一方、JB/WIDEプロジェクトとInternet2は主に、そうした高速バックボーン上で何をするかというアプリケーション(利用法)の実験を紹介した。JBプロジェクトでは、ギガビットネットワーク上でIPv6やマルチキャスト、DV over IPv6などを実験的に利用。大学の講義への国際テレビ会議利用(SOIプロジェクト)や、INET 2000でも展示されたiGrid 2000プロジェクトなどの活動をしている。IPv6の利用にはIPv6ベースのIX(ISPどうしを接続するところ)である「NSPIXP6」を構築し、IIJ、NTT Com、DTI、WIDEなどが接続している。Internet2でも、SOIやiGrid 2000の米国側など、インフラからミドルウェア、アプリケーションなどについての研究を推進していると語った。
なお、「予算は?」との会場からの質問に、Internet2が「年に計1.5~2億ドル」とすぐに答えたのに対し、JB/WIDEは「(日本の縦割り社会の)さまざまなところからテストという名目で予算を集めている」と答えるなど、各国の背景の違いの一端が見られる一幕もあった。
(2000/7/22)
[Reported by masaka@impress.co.jp]