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【業界動向】

「iモードの米国での成功は今のところ困難」とAndrew Seybold氏が指摘

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http://www.outlook4mobility.com/
http://www.outlook.com/preleases/Aug7_00.html

 米国の携帯電話会社は、NTTドコモの「iモード」の成功を見るにつけ、米国に持ち込めば成功できるのではないかと考え、同社に注目している。こうした傾向に対してモバイルコンピューティング分野に特化したニュースレターの編集長として知られるAndrew Seybold氏は懐疑的な見解を持っている。

 Seybold氏は「iモードはさまざまな点において文化的な成功であって、携帯電話としての成功ではないと信じている」と述べてから、米国にiモードを持ち込んでも成功できないとする2つの理由を挙げた。

 一つ目は「たぶん最も顕著な違いは、我々がインターネットをどのように体験しているか、というところにあるだろう。米国ではほとんどの若者とビジネスピープルはインターネットにデスクトップパソコンからアクセスしている。接続速度は最低でも33kbps。それにほとんどはDSLやケーブル接続のスピードを経験したことがある。しかしながら日本では、iモードの利用者の85%以上は携帯電話の画面以外でインターネットを利用したことがない。彼らは大きな画像を見た経験がないのだ」とインターネット体験の違いを指摘した。

 二つ目は「(日本では)ほとんどの人々は携帯電話を室内で使うことに慣れていて、データは電話のもう一つの使い方に過ぎない。我々の住む米国では室内は通話エリアに入っておらず、室内で使えるようになるまでには長い時間がかかるだろうと私は予測している。我々が携帯電話をインターネットアクセスに使いたいと思う場合は、外出先と同じように室内でも使いたいのだということを、携帯電話会社は理解しなければならない。携帯電話の成長は、通話エリアの拡大によってそれが我々の主要な電話となった時だけに起こりうるものだ」と述べ、米国特有の通信事情の悪さを厳しく指摘した。

 米国では、現在、携帯電話こそが次のブームになると考える多くの起業家が新しいアイディアを持ち込んでおり、それだけに日本の携帯電話の成功には注目が集まっている。今回のSeybold氏の発言は、安易に日本に追従し、物まねに終わるのではなく、本当に米国民の文化に適したサービスを提供するためには努力しなければならないという叱咤激励の発言ともとれるかも知れない。

(2000/8/8)

[Reported by taiga@scientist.com]


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