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「インターネット博覧会（インパク）」を推進する内閣総理大臣官房新千年紀記念行事推進室は19日、「インパク編集部」を編成し、編集長に作家の荒俣宏氏、コピーライターの糸井重里氏らを起用すると発表した。インパクのポータルページとなる「インパク広場」を企画・制作するもので、参加パビリオンの総合案内や最新ニュースなどを提供するほか、ウェブ上およびリアルでのイベントも展開していく。
編集長にはこのほか、「PostPet」を手がけたメディアアーティストの八谷和彦氏、東京大学大学院新領域創成科学研究科助教授の浜野保樹氏が就任するとともに、電通プランニング・プロデュース局長の白土謙二氏が編集統括を担当。さらに今後も数名の有識者を編集長として起用する予定だ。インパクには約200の企業／団体がパビリオンを開設する見込みだが、テーマが多岐にわたるパビリオンをすべて一つの視点で紹介するのは無理があること、また開催が1年間と長期にわたることから、さまざまなジャンルの人材を複数起用することにした。月ごとに編集長を交代し、それぞれのコンセプトに基づきながら、インパク広場のコンテンツをとりまとめていく。
記者発表会であいさつに立った荒俣氏は、150年前に登場した万博というイベントが担った役割を「20世紀を彩ったエンターテイメントが一気に作られた」場所だと説明。「新しいアートや新しい建築や新しい商売が生まれてくる、そういうチャンスを与えるサイトにしたい。川上貞奴（パリ万博での公演などを通じて世界的な人気を博した日本女優の“元祖”）のようなものをインターネットの中で立ち上げたい」と抱負を語った。
一方、糸井氏は、「いわゆるIT革命という言葉に含まれる“ビジネスのチャンス”や“便利さ”という2つのキーだけでインターネットが使われていくようであれば、インターネットの役割のほとんどが出てこないままになってしまう」と指摘。「このあたりで、エンターテイメントを中心としたものが吹き出て」きて欲しいという意味を込めて、「町人の祭り」というキャッチフレーズを紹介した。インパクが「工でも商でもなく、一人一人の町人の祭りになればいい」ということだとしている。
なお、糸井氏によると、インパクの予算は非常に少ないということで、「編集長としてお恥ずかしいような予算でみんさんに頼みごとをしていかなければならない。広告費もあまりない」と苦笑。「次の時代の楽しさを作るために、ぜひ、税金だと思ってご協力いただきたい。僕もそのつもりでここに来ている」と協力を呼びかけている。
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記者発表会には、新千年紀記念行事推進室の担当大臣を務める堺屋太一経済企画庁長官も出席。インパクが、世界の中で立ち遅れている「わが国のIT革命を推進する中できわめて重要な役割を持っている」と強調した。IT革命を推進するためには、光ファイバーなどのインフラ整備やソフトウェアの普及のほか、「人々が使って便利だ、面白いというコンテンツ」すなわち「楽しみのマーケット」が不可欠であり、そのきっかけとなるのがインパクだというわけだ。しかも、期待されているEコマースの市場規模が「どう見ても1兆か2兆の世界」であるのに対し、「この楽しみのマーケットというのは何十兆、何百兆のマーケット」であると、その経済効果も指摘している。また、インパクの効果だけを取り出して議論するのは難しいとしながらも、これから500日をIT革命の年として「できることなら（日本の）インターネット参加者を倍増させたい」という。
一方、会場の記者からは、「インターネット自体がすでに博覧会と化している」現在の状況の中で「入場料にあたる通信料金が非常に高いために、日本のユーザーはインターネットという博覧会に参加できないでいる」との指摘も飛び出し、「根本的な問題である通信料金について、インパクはどれだけ働きかけることができるのか」といった疑問も投げかけられた。これに対し、堺屋長官は「インパクが開かれ、需要が増えれば、それに相応して引き下げることができると思う」としながらも、「通信行政として今、鋭利、別途検討しているところで、この博覧会行事だけでどうということはできない」とコメントしている。
(2000/9/19)
[Reported by nagasawa@impress.co.jp]