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英British Telecom(BT)がインターネットの基本技術であるハイパーリンクに関する基本特許を保有していることが今年5月に明らかになっていたが、13日(米国時間)に同社が米国のISP、米Prodigy Communicationsをこの特許権を侵害したとして訴えを起こしたことが21日までに明らかになった。
BTは、今年5月に米国内の複数のISPに対して特許をライセンスする意志があることを示す文書を送付したことを認めているが、その具体的な名前は「法的な理由で明らかにできない」としている。こうした経緯の後、今回Prodigyを特許権侵害で訴えるに至り、このハイパーリンク特許を巡る問題は次の段階に移ったことになる。
問題となっている特許は、BTがまだ英国郵政公社だった1970年頃、コンピュータ技術と通信技術を融合させたサービスのための一連の研究から生まれた。その米国特許番号は「4,873,662」で、1986年に出願されている。この特許はBTの中で使用されずに埋もれていたが、隠れた資産を探し出すための作業中に今回再発見されたものだ。BTの広報担当者は「知的財産権は本物の財産だ。大西洋の両側に位置する多くの先進的な企業が知的財産権の有効活用から多くの利益を得ている」と話す。
しかし、ハイパーリンクの基本技術は1986年よりも遙か前に発明されていたと主張する人は多い。その一つの根拠として挙げられるのが1968年にマウスの発明者として知られるStanford Research InstituteのDouglas Englebart氏が行なったプレゼンテーションだ。この時の模様はWeb上でも公開されており、BTが法廷闘争に勝ち抜くのは難しいと目される根拠となってきた。しかし、BTの広報担当者は「BTにはその知的財産権を主張する権利があり、我々は(訴えを起こした)ISPと事を速やかに、かつ友好的に進めたいと強く願っている」とコメントするにとどまった。
この特許が日本企業に与える影響も興味のあるところだが、BTではこの件について「ノーコメント。しかし我々の法的な訴えが米国内でのみ有効な米国特許4,873,662に言及しているに過ぎないことに注意して欲しい」としている。インターネット上の多くの識者はこのBTの発明は他の多くの国々で出願されたものの、2006年まで権利が有効な米国特許以外はその効力を既に失っていると考えている。
また、ハイパーリンク技術を使用している個人を訴えるのか、あるいはハイパーリンク技術がその基盤にあるXMLやJavaといった技術も今後訴訟の対象となってくるのかといった点についても同社はコメントを差し控えている。
(2000/12/20)
[Reported by taiga@scientist.com]