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第1位 | Napster、音楽業界に衝撃を与える |
第2位 | 「My MP3.com」サービス、訴訟から和解へ |
第3位 | リキッドオーディオジャパンのゴタゴタ騒ぎ |
第4位 | サービスを開始しない「es!Music」 |
2000年の音楽配信業界で最大の話題はなんといっても「Napster」であろう。そのシステム自体が登場したのは1999年のことだが、今年は全国紙や一般誌にもその名が大きくとり上げられ、一挙に知名度を上げた。一時期、MP3が悪者視されたのと同様に、Napsterも技術そのものが悪いわけではない。Napsterで流通される音楽に“著作権を侵害している”場合が多かったということだ。Napster自身は、むしろ“音楽そのものがインターネット上で流通するということ”“それを欲しているユーザーが多いこと”をあらためて知らしめたという意味で評価したい。また“P2P”のモデルはNapsterの登場が契機になっている。音楽産業のみならずインターネット全体に及ぼす影響も大きいだろう。
MP3.comのパーソナライズサービス「My MP3.com」は、“自分の買ったCDの音楽をどこにいても聴ける”という快感(または利便性)を教えてくれた。NapsterにしろMy MP3.comにしろ、音楽産業的もしくは著作権保護的にまだまだ整備が必要な代物だが、われわれリスナーが後戻りできないほどの新しいリスニングスタイルを提示してくれた。
そして3位は、リキッドオーディオジャパンだ。本誌に最初にLiquidAudioが登場したのは1997年1月のこと。CD並みの音質での音楽配信、CD-Rへの対応、ジャケット写真を表示するクライアントソフトなど、当時としては先進的なシステムであった。特に1998年後半からは、米国での活発な活動もあり、次世代音楽配信システムの目玉の一つとされた。そして2000年、日本法人のキッドオーディオジャパンが国内での活動を本格的に開始した。写真週刊誌などでも話題になった1月末の「マザーズ上場記念パーティー」の場に私もいたが、豪華ゲストに目を奪われつつも、会場で目にした“異常に目つきの鋭い人達”の存在が気になった。その後の同社の動きについては皆さんご存じの通りだ。黒い噂は絶えず、ついには社長の逮捕にまで至った。最大の問題は、一般誌やテレビなどで同社が紹介される時に、必ず頭に“インターネットを使った音楽配信事業の会社”と付く点。“インターネット音楽配信=悪い奴”とのすり込みが浸透しないことを祈るばかりだ。
4位には、いつまでもサービスを開始しない「es!Music」を挙げておく。1999年11月の会社設立発表時には、「1曲100円」「JASRACの提唱するシステムに準拠」などの概要を明らかにし、2000年のサービス開始を予定していた。ところが当初のサービス開始予定の6月になっても音沙汰なし。その後、一度8月末に延期とアナウンスされたものの、12月末の現在となってもサービス開始の気配なしだ(ついでに言うと、サイトからはプレスリリースのページさえなくなっている)。単純に、配信する楽曲が集まっていないことも原因と考えられるが、そこには国内音楽産業の“事情”があるのだろう。いずれにしてもリスナーの意向とはまったく関係のない所で動いているのが特徴だ。
(2000/12/27)
[Reported by okiyama@impress.co.jp]