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第1位 | スティーブン・キング作品の成功(3月) |
第2位 | “立ち読み”できる電子書籍システム「ドットブック」の発表(6月) |
第3位 | 「電子文庫パブリ」の開店(9月) |
2000年は、電子書籍がようやく市民権を得た年でもあった。“本は紙に印刷されたもの”“文章を読むには紙の本に限る”、そんな常識が覆りつつある。
スティーブン・キング氏の新作「Riding the Bullet」が、オンラインでの発表後わずか48時間で50万部を売り上げるに至り、それまで電子書籍に向けられていた奇異の目は劇的に転換することになった。ベストセラー作家がオンラインに参入し、そこでもまたベストセラーを叩き出したことにより、オンライン電子出版はようやく離陸した感がある。電子出版がベストセラーを生み出した事実。とりもなおさずそれは、電子出版が立派なビジネスとして認知された事実でもある。
技術的な進展もあった。普通の書店で本を立ち読みするように、オンライン書店上で“立ち読み”できるシステム「ドットブック」の発表がそれである。それまで実際に買ってみるまで内容を確認できなかった従来の電子書籍と違い、ドットブック形式の電子書籍は、あらかじめ設定された一定時間内であれば買ってみる前に本の内容を確認できる。気に入れば買い、気に入らなければ買わない。あたり前のようでいて重要な“立ち読み”という“儀式”が、ようやく実現されたというわけだ。
また、国内においても電子出版ビジネスが本格的に立ち上がった。「電子文庫パブリ」の開店である。大手出版社各社が参加するこのオンライン書店は、プロフェッショナルの作家の執筆による電子書籍を提供している。大手出版社が乗り出したことで、普及のために一番重要であるクオリティの高いコンテンツが提供されるようになるのだ。
紙の本を放逐するとまでは言わないが、電子書籍は今後、商業出版の選択肢の一つとして普及していくことだろう。
(2000/12/27)
[Reported by Takayuki Masuda]