【業界動向】

オンラインと既存業者との共存を目指す

米MP3.com、音楽配信の“基盤サービス”を発表

■URL
http://pr.mp3.com/pr/249.html

 米MP3.comは4日、サンディエゴで開催されたイベント「Next Generation of My.MP3」の席上で、音楽業界の仕組みを変えようとする試み「Music InterOperating System(IOS)」を発表した。これは音楽業界にかかわる小売店、レーベル、音楽を再生するハードウェアやソフトウェアを製造している企業などをつなぎ合わせるものである。

 このMusic IOSについてMP3.comの会長兼最高経営責任者のMichael Robertson氏は「われわれはMusic IOSが音楽業界のさまざまな異なったセグメントを全く新しい方法で一緒にすることができると考えている。例えば今日、CDを買うという行為、それをステレオで再生すること、次にその音楽をオンラインストレージに保管することは3つの別々の行為からなっている。我々はこのプロセスを変化させ、音楽を売る小売店、デバイスを製造する業者、そしてオンラインストレージサービスをつなぎ合わせることによってそれらを1つの行動で済むように変えたいと思っている」と説明した。

 このMusic IOSのカギとなるのがMP3.com Developers Networkである。MP3.com Developers Networkは、同社が従来から提供しているパーソナライズサービス「My MP3.com」で提供していた機能を開発者向けに提供するというもので、MP3.comに溜めた音楽をさまざまなウェブサイトやデバイスから自由に利用できるようにするためのツールやAPIを開発者に提供する。Music IOSのためのさまざまなコンポーネントは現在もいくつか用意されているが、将来はより充実していく予定だ。

 Music IOSの部品の一つは「Instant ListeningAPI」。このAPIを使うと、音楽を販売しているEコマースサイトはすぐにMP3.comのInstant Listening機能をサービスとしてサイトに組み込むことができる。つまりEコマースサイトで音楽を購入した顧客はすぐにMy.MP3のオンラインミュージックストレージを通してCDが家に郵便で到着するのを待つまでもなく音楽を聴くことができるのである。

 また別の「Beam-it SDK」を使ってソフトウェア、デバイス、ウェブサイトを構築すると、利用者は自分が持っているCDのコレクションをMy.MP3のアカウントに一瞬のうちに転送でき、My.MP3のサービスをさまざまな場所で利用できるようになる。

 このようにMusic IOSはオンラインにおける音楽配信と伝統的なCDの販売を統合し、その中心にMP3.comを据えることを目的としている。MP3モバイルの副社長Shawn Conahan氏は「われわれはMusic IOSがこれまで存在してきた境界線を飛び越えて音楽の移動性を高めると信じている」とコメントしている。

(2001/1/5)

[Reported by taiga@scientist.com]


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