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2000年後半からググッと盛り上がってきたのが“インターネット電話”だ。市販デスクトップPCにヘッドセットが付属するのも珍しくない昨今だし、ブロードバンド化とあいまって、インターネット電話の使いやすさと注目度は今後さらにアップするはず。今のうちに使い始めて、一足お先にお得なコミュニケーション手段を手に入れよう!
●インターネット電話って何?
情報通信関連用語としてはもうおなじみの“インターネット電話”。本題に入る前に、その特徴を改めて押さえてみよう。
インターネット電話とは、TCP/IPネットワーク上で音声データを送受信する技術(VoIP : Voice Over IP)を使ったソフトやサービスを指す言葉だ。この言葉でカバーする範囲はかなり広く、大きく分けると3つのタイプがある。
まず1つめは、従来の一般電話回線ネットワークの一部をTCP/IPに肩代わりさせることで、通話料金を安く抑える、いわば“一般電話の代用”タイプ。ユーザーがPCを使う必要はなく、一般電話から通話をする際に、まず決まったアクセスポイントに電話をかけてID番号などを入力してから、かけたい相手の番号にダイヤルするというステップを踏むものだ。サービスとしては比較的以前からあり、代表的なものには「AT&T @phone」などがある。
無料で一般電話にかけられるのがウリの「ただTEL」
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今回はこの中から、個人で使えるサービスやソフトをまとめ、その機能や特徴を取り上げていきたい。
●使う前にココをチェック!
さて、各サービスの紹介に行く前に、インターネット電話を使うのに必要な機器について触れておこう。
まず、貴方がインターネット電話に使うPCのOSがWindowsで、ここ2~3年の間に購入したものなら、まず問題はない。インターネット電話の必要条件が、だいたい以下のスペックになっているからだ。
・OS Windows Windows98/ME/2000
・Pentium166Mhz以上、メモリ32MB以上
・マイクとスピーカー、全二重サウンドカード(できればヘッドセット)
・56Kbps以上のスピードのインターネット接続環境
・InternetExplorer5.0以上をインストール済み
・JavaおよびJava Scriptが有効の状態
このスペックを満たしていれば、ほとんどのインターネット電話をスムーズに楽しむことができる。敷居は決して高くないのだ。
できれば用意したいものがヘッドセット。ヘッドフォンとマイクが一体化したものだ。もちろんスピーカーと据え置きマイクでも問題はないが、マイクと口が離れていると不要なノイズを拾いやすい。ヘッドセットは2,000円前後から購入できるので、手持ちがない場合はこれを機会に購入するのをオススメしたい。相手に自分の声がちゃんと届くため、と思えば高くはないのでは?
また、ほとんどのインターネット電話サービスが、最初にユーザー登録が必要となる。必要なソフトをダウンロードしてインストールするものと、Webアプレット型のものとがあるが、多くのサービスで最初に起動したときにマイクとスピーカーの動作チェックを行なうので、先につないでおくと慌てずに済むだろう。
さて、使う前に気をつけたい点が2つある。1つはMacintoshとの対応状況だ。残念ながら、現在のインターネット電話で、Macintoshで使えるものは非常に少ない。今回取り上げたなかでは、「Yahoo! Messenger」「AOLインスタントメッセンジャー」「Roger Wilco」が対応しているのみだ。これについては各提供企業の動きを待つしかないのだが……。なお「ビットアリーナ」「PhoneFree」などは、Mac版を開発する方向という。
もう1つが、会社などのLANで使う場合。LANやファイヤーウォールの内側では使用できないインターネット電話も多い。今回は編集部のLAN環境で使用できたものはその旨を記しているので、参考になれば幸いだ。
●注目度は一番! ~ PC to Phone・無料タイプ
大都市圏を中心にサービスを提供する「RiRiRi Phone」
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■「ただTEL」(日本語・アプレット)
http://www.tadatel.co.jp/
バナークリックで広告を閲覧すると電話用のポイント「tel」が貯まり、集めたポイントで通話ができるシステムをとっている。特筆すべきは国内の携帯電話にかけられる点で、国内のサービスでは恐らくここだけのものだ。LAN内からも通話できたが、ポイントはLAN内からは加算されないので注意。韓国のWeb2Phone社の技術を利用している。
■「RiRiRi Phone」(日本語・アプレット)
http://www.ririri.ne.jp/
動画の広告をダイヤルウィンドウ内に表示することで、通話を無料にしているタイプ。現在の通話可能エリアは札幌011、東京03、川崎044、横浜045、柏0471、川口048、浦和048、名古屋052、大阪06、福岡092(以上市外局番ベース)の10エリア。今年中には対応エリアを全国に拡大したいとしている。
【訂正】 当初対応エリアを「札幌011、仙台022、東京03、国分寺0423、千葉043、川崎044、横浜045、厚木046、柏0471、川口048、浦和048、川越0492、名古屋052、大阪06、京都075、神戸078、堺0722、広島082、福岡092、北九州093」と書きましたが、1月30日現在、拡大が遅れており上記10エリアのみに対応しているとのことでした。お詫びして訂正させていただきます。(編集部)
■「DialPad」(日本語・アプレット)
http://japan.dialpad.com/
米国および韓国の一般電話とフリーダイヤル、米国は携帯電話にもかけることができるサービス。日本国内の一般電話と韓国の携帯電話は2001年中に対応予定。PC to PCの場合はもちろん世界中どこでも可能だ。LAN内からも通話可能。
'99年のサービス開始以来、急激に人気を集める「Media Ring」
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■「MSN Messenger Service」(日本語・ソフト)
http://messenger.msn.co.jp/
インスタントメッセージで知られるこのサービスでも、米国の一般電話に無料で通話できる。もちろん米国外からも通話可能で、LAN内からも利用できる。Net2Phoneの技術を使用。
■「Yahoo! Messenger」※米国版(英語・ソフト)
http://messenger.yahoo.com/
おなじみ米国版Yahoo!のインスタントメーセージソフトでも、米国内の一般電話へ無料通話ができる。これもNet2Phoneの技術を用いており、Macintoshにも対応している。LAN内使用可能。
日本国内に対応も間近? 「DialPad」
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■「Wowcall」(韓国語/英語・アプレット)
http://www.wowcall.com/
「ただTEL」に技術提供しているWeb2Phone社によるインターネット電話サイト。通話対応国はなんと240カ国以上! ここでは韓国内のユーザーのみを受け付けており、その他の国は地域ごとの提携先企業と共同でサービスを行なっている。
■「Telefree」(韓国語/日本語・アプレット)
http://www.telefree.co.jp/
http://www.telefree.co.kr/
この3月に日本でもサービスを開始する予定の、韓国発のインターネット電話サービス。広告閲覧でポイントを貯めて通話ができるほか、企業向けのVoIPシステムも提供する予定という。
●通話先を選ばない手軽さ ~ PC to Phone・有料タイプ
アプレットとソフトの双方で提供「e-phone Plus」
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■「e-Phone」(日本語・アプレット/ソフト)
http://www.e-phone.ne.jp/
Webアプレット版の「e-Phone Anywhere」と、ソフト版の「e-Phone Plus」がある。出先のPCから使いたいなら「e-Phone Anywhere」、いつも同じマシンで使うなら「e-Phone Plus」と、使い方に合わせて選べるのが便利。料金は米国へ1分7円、ドイツは1分10円、シンガポールへ1分10円など。VocalTec社の技術を利用。LAN内でも使用できた。
■「PhoneFree.com」(英語・ソフト)
http://phonefree.com/
世界各国への国際通話に加え、PC to PCの通話やビデオフォンなどにも対応している多彩なサービス。料金は米国へ1分0.02ドル(1月25日現在で約2.3円)、ドイツは1分0.05ドル(約5.8円)、シンガポールは1分0.09ドル(約10.5円)と、かなり低価格になっている。通話する場合、最初に20ドル分のアカウントを購入する必要あり。
■「ICQ」(英語・ソフト)
http://web.icq.com/
おなじみのIMソフトにもインターネット電話機能がついている。これもNet2Phoneの協力で、最低1分1セントの料金から国際電話ができる。また「Phone to PC」(一般電話からオンラインのICQユーザーに電話がかけられる)の機能はこのサービスだけだ。
多方向への事業展開も話題「Net2Phone」
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■「iConnectHere」(英語・アプレット)
http://www.iconnecthere.com/
有料のPC to Phone、無料のPC to PCに加えて、ボイスメッセージなども送れるタイプ。通話料金は現在改変中のため、確認できなかった。LAN内でも使用可能。
■「フリートーク」(日本語・ソフト)
http://www.telematrix.co.jp/
専用インターネット電話機「気にしナイス」とPCを組み合わせて使うインターネット電話サービス。3月から開始する先行実験に併せて、現在参加者を募集中だ。料金は国内長距離が15円/3分、米国は24円/3分など。PC to PCの通話も可能で、1ヵ月2,000円の基本料金がかかる。
●チャット感覚で楽しめる ~ PC to PC タイプ
ここでインターネット電話フレンドが見つかるかも? 「ビットアリーナ」
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■「Netmeeting」(日本語・ソフト)
http://www.microsoft.com/japan/windows/netmeeting/
もはや老舗の部類に入るビデオ・オーディオチャットソフト。音声だけでなく動画もリアルタイムで送受信が可能だ。ユニークなのはホワイトボード機能。相手と1つのホワイトボード(ウィンドウ)を共有し、イラストを描いたり文字を付けたりと楽しめる。LAN内でも利用可能。
■「ビットアリーナ」(日本語・ソフト)
http://www.bitarena.com/
広告表示スペースを持つチャットソフト。会員の一覧や最新の接続会員リストを掲載しているので、チャットフレンドを見つけやすいかも? 広告を見るとポイントが貯まり、2月中旬からは貯まったポイントで懸賞応募も可能に。LAN内でも利用できた。
■「AOLインスタントメッセンジャー」(日本語・ソフト)
http://www.jp.aol.com/
世界で6,400万人のユーザーがいるインスタント・メッセージソフトでも、音声チャットが楽しめる。特にプラグインなどを必要とせず、トークボタンを押すだけの手軽さが嬉しい。相手が知らない人の場合、警告を発したり断ったりという動作ができ、迷惑防止に役立ちそうだ。LAN内で利用可能で、Mac版もある。
ビギナー向けのナビゲーションもある「FireTalk」
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■「FireTalk」(英語・ソフト)
http://www.firetalk.com/for_personal/index.html
PC to PCの音声チャット以外に、ボイスメッセージ送付やIM送信ができる多機能タイプ。広告バナーなどが表示されない有料版の「FireTalk VQ」もあり、こちらは6ヵ月で19.95ドルの費用がかかる。
■「Excite Chat」(英語・アプレット)
http://www.excite.com/communities/chat/voicechat/
人気のWeb版音声チャット。発言するときはCTRLキーを押しながらしゃべろう。とりあえず試してみたい人は、初心者向けの「Voice Check Room」で慣れてみることをオススメ。LAN内でもOK。
(2001/1/29)
[Reported by aoki-m@impress.co.jp]