|
日本SGIの和泉法夫代表取締役社長 |
3DCGプラットフォーム開発のSGIが、ブロードバンド向けのソリューション事業に本格的に進出する。日本SGIは21日、「ブロードバンド・ソリューションセンター」を3月1日付けで設立し、高品質のビデオオンデマンドなど、光ファイバー時代を見据えたコンテンツの保存・管理・配信のためのシステムを構築する事業を強化すると発表した。
同社ではすでに有線ブロードネットワークスの光ファイバー通信サービスにおいて技術提携し、コンテンツ配信システムの共同開発を進めてきた。同センターは、これまで有線ブロードのシステム開発に携わってきた部署を拡充するもので、100名体制の組織となる。蓄積してきた技術やノウハウをもとに、今後、キャリアやISP、放送局、コンテンツプロバイダーなど「FTTHという言葉が付くところ全部」(日本SGIの和泉法夫代表取締役社長)をターゲットにソリューション事業を展開していく。すでに10社近くが検討に入っているという。
実はこれまでも同社では、企業や研究機関のイントラネットなど高速環境向けのビデオオンデマンドシステムを提供してきており、国内の大学などでも100システム以上の納入実績があるという。また、一般向けのブロードバンドサービスについてもすでに6年前、NTTと共同で千葉県の浦安地区でフィールド実験に参加。有線ブロードが提供するような光ファイバーによるビデオオンデマンドシステムをすでに当時から構築していたという。しかし、光ファイバーの全国的な普及がまだ目に見えていなかったこと、また、サーバーの価格が数十億円、クライアント端末が数百万円というコスト的な問題もあり、「実験としては素晴らしかったが、実現はしなかった」(和泉社長)。
それが、 FTTHの開始でやっと「マーケットがミートしてきた」とし、これまで利用がイントラネットなどに限定されていたSGIのソリューションを、一般向けのブロードバンドサービスに対しても提供できる時期にきたと判断した。「今までニッチだったところが一気に広がってきている」という現在の状況に対し、「ここまでフォーカスしているメーカーはない」と自信を見せている。現在でもイントラネット向けのビデオオンデマンド分野では圧倒的なシェアがあるという。ただし、単に映像を配信するだけなら他のソリューションでもできるとし、ターゲットとするのは、あくまでもハイクオリティのコンテンツ配信ソリューション市場だ。同センターのソリューション事業には、システム構築だけでなく、ハードウェアからクライアントソフトまですべて含まれるため、来年度の売上は数百億円になると見ている。
(2001/2/21)
[Reported by nagasawa@impress.co.jp]