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【通信事業】

東京めたりっく通信、DSL回線の卸売り事業展開へ
まずはSDSL回線の提供でKCOMと提携

■URL
http://www.metallic.co.jp/news/2001/0301.html
http://www.kcom.ne.jp/info/press_2001/228.html

 東京めたりっく通信が、DSL回線のホールセール(卸売り)を本格的に開始する。1日、同社のSDSL回線をKCOMに提供することで合意したと発表した。東京めたりっく通信ではこれまで、インターネット接続まで含めて自社DSLサービスとして提供してきたが、今回の提携により、東京めたりっく通信のSDSL回線を使ってKCOMのインターネット接続サービスを利用できるようになる。

 KCOMでは同日より、法人向けの常時接続サービスとして「KCOM SDSL」を開始した。最大通信速度が上り/下りとも768kbpsのコースが月額料金5万3,000円、1.6Mbpsのコースが月8万9,000円となっている。初期費用はともに15万円。東京めたりっく通信のサービスエリアが対象となる。

 東京めたりっく通信ではさらにISP各社との提携を進め、従来の直販サービスと並行して、ホールセール事業も展開していく考えだ。現在DSL他社から回線の提供を受けているISPについては、ほぼ交渉を進めているという。売上比率で見れば、今後も直販のほうが圧倒的だとしながらも、「回線数でいくと、ホールセールは無視できない」(東京めたりっく通信広報室)と見ており、イー・アクセス規模のDSLホールセール事業へ展開する可能性もありそうだ。なお、同社では昨年9月にNTTコミュニケーションズとの間でDSL回線のホールセールについて合意しているが、商用ベースでのサービス開始はKCOMが初めてだという。

 昨年後半からは既存の大手ISPでも対応するなど、普及が著しいADSLサービスだが、これには、イー・アクセスやアッカ・ネットワークスといったDSL回線のホールセール事業者、さらにはNTT東西地域会社の「フレッツ・ADSL」などが果たしている役割が大きい。DSL事業者とISPがそれぞれ専門とするサービスを受け持つことで、リスクやユーザーサポートの負担を分散できるほか、ユーザーにとっても既存ISPのままでADSL接続が利用できたり、好きな会社のサービスを組み合わせられるというメリットがある。

 これに対して東京めたりっく通信は、国内のDSLサービスでは最も早くサービスを開始した事業者の一つ。当時は今ほどDSLが認知されていなかったため、既存ISPと組んでホールセール事業を展開するのは難しく、まずはISPも含めてみずから提供する必要があった。また、大きな売上が期待できる直販サービスは、経営上でも大きな意味あいを持っていたという。

 それが現在では、「ユーザーにもISPにも、ADSL市場や弊社について一定の確信をお持ちいただける状況になり、ある程度、弊社側の意向も尊重していただける環境になった」という。また、バックボーン用のダークファイバーを調達できるようになったことで、トラフィックの増加やサービスのバリエーション拡大にも対応できるようになった。逆に、「他社のDSL回線数が少なく、ISPにとっての仕入れが円滑にいかない状況が見えてきて、我々もこれ以上、引き延ばすのもよろしくない」という判断もあったという。

 実際、東京めたりっく通信では1999年のサービス発表当初から、将来的にはホールセール形態での回線提供も行なう方針であることを表明していた。それがここにきて、条件的にやっと実現できる時期になったわけだ。また、すべてのサービスを自社で直販するのにも限界があり、それでは競争が激化するDSL市場においては勝ち残れない。後発のイー・アクセスやフレッツ・ADSLが回線数を伸ばしている状況を横目に、東京めたりっく通信自身もホールセール事業の必要性に迫られていたとも言える。

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(2001/3/1)

[Reported by nagasawa@impress.co.jp]


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