【業界動向】

「itoyokado.co.jp」はイトーヨーカ堂へ ~工業所有権仲裁センターが裁定

■URL
http://www.ip-adr.gr.jp/jp_domain/jiken/saitei/jp2001_0001.htm

 工業所有権仲裁センターは、JPドメイン名紛争「JP2001-0001」についての裁定を発表した。ドメイン「itoyokado.co.jp」についての紛争処理裁定で、同ドメインを申立人である株式会社イトーヨーカ堂へ移転するよう命じた内容となる。
 これは1月15日に株式会社イトーヨーカ堂が、「itoyokado.co.jp」の登録者である株式会社銀河(神奈川県で不動産賃貸業やショッピングセンターなどを経営)に対して、ドメイン名登録の移転を申し立てていたものだ。

 裁定によると、株式会社銀河は、1999年7月にドメイン名取得代行業者を通じて「itoyokado.co.jp」を登録している。その後同ドメインで、有名デパートのホームページへのリンク集サイトを運営していた。2000年4月からはサイト上に「ITOYOKADO.CO.JP 上記ドメインお譲りします 詳細はメールにて」の掲示を表示、また2000年11月には「遊びのつもりで」同ドメイン名を最低落札価格を10億円で「Yahoo!オークション」に出品した経緯がある。
 イトーヨーカ堂側は「老若男女の別を問わず、およそ『ItoYokado』の営業表示を知らぬ者はないといっても過言ではない」として、「itoyokado.co.jp」の登録者である銀河が、正当な権利や利益を有していないと主張。またドメイン名販売を目的としてサイトを立ち上げていたことやオークション出品に触れ、「ドメイン名の登録制度を利用した悪質な企業恐喝」に受け取れるという観点を示していた。
 銀河側はこの申立てに対し、「itoyokado.co.jp」の取得以前に、イトーヨーカ堂が「iyg.co.jp」のドメイン名でグループ企業のサイトを開設していたことや、デパートのリンク集としてイトーヨーカ堂のサイトにもリンクしていたため営業妨害にはならないなどと反論。「申立人に対して話し合いを求めたが、まったく聞く耳を持たず門前払い同然の扱いを受けた」とし、移転に同意する意思はあるものの、「一方的に悪者にされて強制的に移転されるというのは、余りに乱暴な話であり公平でない」と主張していた。

 弁護士・弁理士の両資格をもつパネリスト3名からなる紛争処理パネルは、ドメイン名「itoyokado.co.jp」がイトーヨーカ堂の商標と混同を引き起こすほど類似し、また銀河がこのドメイン名について権利や正当な利益を有していないと判断。同ドメイン名が不正の目的で使用されているとして、イトーヨーカ堂への移転を命ずる裁定を全員一致で下した形だ。
 銀河がこの裁定に従った場合は、4月5日にドメイン名がJPNICによって移転される。ただ、同社がこの裁定を不服として出訴した場合は、裁定の効力はなくなる。なおJPドメイン名紛争での工業所有権仲裁センターによる裁定は、これが2件めとなる。

(2001/3/14)

[Reported by aoki-m@impress.co.jp]


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