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【業界動向】

広大な北海道には無線アクセス方式が望ましい
~北海道総合通信局が報告書~

 総務省北海道総合通信局は、道内の高速アクセス網を整備するのには無線アクセス方式が有効との報告書をまとめた。

 報告書は、北海道総合通信局が2000年12月に設置した「北海道における高速アクセス網の整備に関する研究会」がまとめたもの。これによると、「山間部や周辺の都市からの距離が離れている地域等では通信事業者のサービスが提供されていない場合があったり、ADSL等が利用しにくい場合が想定されるため、電波を活用することによるメリットが大きい」と説明。人口密度が全国平均の5分の1にあたる68人/平方キロメートルと、広大な地域に人口が分散している「広域分散型社会」では、無線ネットワークが情報格差の解消に役立つとしている。中でも「2.4GHz帯の小電力データ通信システムがネットワーク構築の容易さなどの点で有利であり、その利用を図ることが望ましい」という。

 なお、道内においても今後は光ファイバーをはじめ、ADSL、CATVなどの高速常時接続が主流になるとの見方が広まっているとしながらも、「通信事業者のサービスの実施は需要の見込める大都市部から徐々に広めることになり、地方における普及は遅れるのが実状」と指摘。「集落が散在する地域の多い道内において、無線システムは逆に地方都市から広がっていく場合もあり得る」としている。

 地方における無線アクセスの普及に向けた動きは、北海道以外の総合通信局でも見られる。北陸総合通信局でも4月、2000年10月より開催してきた「インターネット接続のための無線アクセス網に関する調査研究会」の報告書をとりまとめている。

 報告書によると、現在実用化されている2.4GHz帯などの無線LANは「中速から高速のインターネット回線としても対応でき、基幹網とエンドユーザー間の加入者回線として光ファイバーに比べて構築が容易でコストも低く抑えられる」として、「とりわけ、北陸地域においては有用性がある」としている。

 しかし、一概にすべての地域で有利であるというわけではなく、すでにCATVやADSLなど競合サービスが存在する都市部においては「無線アクセス網が有利かどうかはケースバイケース」。一方、「都市部以外の地域にあっては、無線アクセス網の特徴である回線構築の容易性を生かした無線アクセス網の利用が可能となり比較的有利」だとしている。

 さらに、陸上だけなく、海上の通信に無線アクセスを活用しようというのが東北総合通信局の取り組みだ。2001年1月に設置された「離島・湾岸地域向けの無線インターネットに関する調査研究会」では、宮城県塩竃市の離島を22GHz帯の加入者系無線アクセスシステム(FWA)と2.4GHz帯の無線LANで結ぶ実証実験を実施。その有効性を検証した。

 報告書によると、22GHz帯のFWAでは「海上4.9キロメートル区間においてインターネット利用を前提とする不稼働率(0.004%)をクリア」したとしており、「離島地域への回線構築には、取り扱いやコスト面からも光ファイバーに比して有効・有利」としている。一方、2.4GHz帯の無線LANについても、「実効的なファイル転送速度も数Mbps程度と推定され、学校教育等に適用が望まれるインターネットアプリケーションの利用が可能」と結論。いずれの方式もインターネット接続のための回線として有効性が確認されたとしている。

■「北海道における高速アクセス網の整備に関する研究会」報告書まとまる(北海道総合通信局)
http://www.hokkaido-bt.go.jp/C/C13/c130424.htm
■インターネット接続のための無線アクセス網に関する調査研究会報告書について(北陸総合通信局)
http://www.hokuriku-bt.go.jp/info/report/r010419-5.htm
■離島・湾岸地域のIT化に向けて(東北総合通信局)
http://www.ttb.go.jp/hodo/PressText/h1304-06/130424ri.html

(2001/5/1)

[Reported by nagasawa@impress.co.jp]


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