【業界動向】

95%が電子申告を利用すると回答~国税庁実験結果

■URL
http://www.nta.go.jp/category/topics/data/h13/07/01.htm

 国税庁は、昨年、東京国税局麹町税務署と練馬東税務署で、個人・法人納税者および納税者から委任を受けた税理士の協力を得て実施した「電子申告実験」の結果を公表した。実験は2003年度までの電子申告制度導入に向けた準備作業の一環として2000年11月27日から2001年3月15日まで実施されたもので、公募により選ばれた法人498社、個人273人が参加した。実験対象税目は申告所得税、法人税、消費税、源泉所得税。

 実験では、申告データ作成用のソフトとして申告帳簿をイメージした「帳簿型」、表計算ソフトを利用した「表計算型」、対話形式で申告データを作成できる「対話型」の3種類を配布した。参加者を対象としたアンケート結果によると、申告データ作成の際、国税庁で配布したソフトの利用者は9割以上で、各税目とも「帳簿型」の使用が約9割を占めている。機能や操作性については、「不十分」が45%となり、自動計算機能や帳簿間でのデータ連動機能の充実などの改善要望が寄せられた。また、申告データ作成用ソフトのあり方については、「データフォーマットを公開し、既存の会計ソフトで作成したデータを送信可能にできれば、申告データ作成用ソフトの配布は必要ない」との回答が74%と大勢を占めた。

 納税者の実データを送信することから、実験では、本人認証の方法として、ID・パスワードに加え認証用フロッピーディスクの使用を採った。この点について、半数以上の参加者からは「使いにくい」との指摘が寄せられたが、一方で「セキュリティ確保の観点からやむを得ない」という肯定的な意見が過半数を占めており、納税者のプライバシーそのものである申告データを送信するという電子申告の性格を反映し、参加者のセキュリティを重視する考え方が伺える。

 電子申告導入後の利用意向については、「場合によって利用する」を含め95%が「利用する」と回答しており、利用に総じて前向きな傾向が見られた。将来の電子申告のあり方については、「できる限りわかりやすい操作が可能な電子申告」「国税と地方税の一貫した電子申告」「セキュリティが確保された安全な電子申告」といった要望が寄せられた。

 国税庁では、実験の実施状況などを踏まえた上で、電子申告制度の詳細な仕組みの検討を行ない、2003年度までに一部の税目について運用を開始すべく、システム開発や法令改正などの必要な措置を講じていく予定だ。

(2001/5/2)

[Reported by moriyama@impress.co.jp]


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