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【通信事業】

ランゲートジャパン、テレビのアンテナ線で高速常時接続サービス
既存マンション向けに月額2,790円で提供

■URL
http://japan.langate.co.jp/

 ランゲートジャパンは、既存の分譲マンションに敷設されたテレビ共聴用のアンテナ線を利用して、インターネットの高速常時接続サービスを提供する事業を開始する。1本の同軸ケーブルでテレビ受信とLANの機能を共存させるシステム「Digital Way ver.2」を採用し、建物内で10Mbpsの通信速度を実現する。

 提供するサービスは「まるまる720」。建物内ネットワークにDigital Way ver.2を採用する一方、バックボーンには無線アクセスシステムや専用線を用意する。初期費用は2万9,500円、月額料金はネット接続料込みで2,790円となっている。まず、京都市で8月に試験サービスを開始。9月より本サービスに移行し、さらに大阪や東京へも提供エリアを拡大する予定だ。同社では当初、マンション350棟への導入を目標としており、1棟あたり平均で12世帯程度の加入を見込んでいる。

 まるまる720を利用するには、そのマンション自体にDigital Way ver.2が導入されていることが前提となる。マンションへのシステム導入費用は無料(キャンペーン期間中)で、35世帯以上のマンションであれば、利用者が1人以上いれば工事を引き受ける。もちろん、管理組合からの合意と申込が必要となるが、導入後のメンテナンスも同社で行なうため、コスト的に管理組合にデメリットとなる要素ない。また、導入後も全世帯が加入を強制されるわけではないため、加入希望世帯が少ない場合でも、理事会で否決されることはほとんどないと見ている。

 Digital Way ver.2は、関連会社のランゲートが開発した製品。従来バージョンについては、千葉県浦安市のマンションなどですでに多くの採用実績がある。ただし、全世帯の壁面アンテナ端子を取り替える必要があっため、既存物件への導入ではネックとなっていた。これに対して新たに開発したver.2では、室内の端子については一切手を入れることなく、同様の機能を提供できるようにした。サービスを利用したい世帯だけが、専用のPCカード(もしくはボックスタイプ)のアダプターを使用し、アンテナ端子とパソコンを接続するだけで済む。

 なお、Digital Way ver.2で使用する周波数帯は、UHF放送とBS放送の間の周波数帯。共聴アンテナ線を通じてCATV放送やBSを利用しているマンションでも問題なく共存できるとしている。また、建物内のアンテナ線が双方向通信に対応しておらず、CATVインターネットが利用できないようなマンションについても、Digital Way ver.2は導入可能だ。ケーブルモデムに比べて設計が新しいため、対ノイズ性能などが格段に優れているためだという。

 既存のマンションに常時接続用のネットワークを構築する方法としては、HomePNAや無線LANなどがある。これらの規格は国際標準がフィックス済みであり、製品自体も安価なものが出回っている。すでに各社がHomePNAや無線LANによる既存マンション向けの常時接続ソリューションを展開しており、まるまる720にとっては競合となる。

 その点、Digital Way ver.2は、通信用に複数チャンネルを割り当てることで高速化できることが強みだという。1チャンネルあたり30~50Mbpsが見込めるほか、将来的には100Mbpsも可能になるのではないかとしており、加入世帯の増加にも対応できるとしている。

 その一方、コスト面ではまだまだ不利なため、ランゲートでは製品自体の販売はとりあえず見送り、ランゲートジャパンの常時接続サービスを通じて利用の拡大を図ることにした。同社ではまるまる720のほか、ホテルや病院、賃貸マンションなどの法人向けにDigital Way ver.2の設備導入のみを行なうサービス「まるごと10」も展開する予定だ。

(2001/5/9)

[Reported by nagasawa@impress.co.jp]


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