【特集】

インターネットに映画がやってきた! ヤァヤァヤァ

 大容量・広帯域時代の到来を控えて、ネット上で映画鑑賞が楽しめる生活が身近になってきている。本特集ではネット上で鑑賞できる映画や予告編を配信しているサイトを一挙公開しよう。 また、ネット上でシネマコンプレックスを誕生させるなど、 新たな映画市場の開拓に意欲を燃やしている@ニフティと日本ヘラルド映画株式会社にお話を伺った。

 

●ネットの映画館は、むしろ映画人口を増やす~「Cineplex@nifty」
「Cineplex@nifty」
http://www.nifty.com/cineplex/

 ニフティ株式会社と日本ヘラルド映画株式会社は、@nifty会員およびCombo会員向けにブロードバンド対応オンライン映画館「Cineplex@nifty」を4月28日からスタートさせた。配信ビットレートは最大1Mbpsで、DVD並みのクオリティでの映像鑑賞が可能となっている。ニフティがインフラの提供や課金・決済を担当し、日本ヘラルド映画がコンテンツの調達などを担当。サービス第一段として、映画「トラフィック」の原作英国ドラマ「TRAFFIK トラフィック!ザ・シリーズ」を配信している(日本未公開作品。6月よりスカイパーフェクTVで放映予定)。今後は配給にこだわらず、さまざまな作品を「Cineplex@nifty」で上映していく予定だ。

 また、ユーザーの条件によって配信の制限を設けるといったサービスも手がける。例えば東京・恵比寿のガーデンシネマでしかやっていない作品があったとする。この場合、登録してあるユーザーの個人データとIPアドレスによって東京近郊など、映画館に行ける人には受信できないように配信するといった設定を行なう。映画業界との権利関係などの問題をうまく避けつつ、地方在住者など、これまで映画鑑賞が不可能だった人に機会を与えられるといった具合だ。富士通とニフティでは、この配信先管理方法ですでに日本ほか8カ国にビジネスモデル特許を出願している。

 また、「Cineplex@nifty」では提供する金額も公開時期などによってフレキシブルに変えていく予定だ。映画公開と同時期の場合、映画館とほぼ同じ金額、レンタルビデオ発売時期と同時なら、レンタルと同額かそれより下に設定する。


ニフティ株式会社 サービス企画部 リーダー 石井健太郎氏

「課題はたくさんありますが、新しいマーケットを構築する作業にやりがいを感じています。映画のネット参入に懸念を示す声もありますが、我々のサービスは既存の映画館を否定する物ではない。これまで情報の少なかった地方在住者などに、所謂単館系上映作品に触れる機会を与えることによって、むしろ映画人の裾野を広げることになると思っています。

 また、インターネットで映画が見られるようになったからといって、映画館に足を運ばなくなるということはあり得ないと考えています。ビデオの普及によって映画人口が増えたように、ネット上の映画サービスによって、映画人口が結果的には増加し、映画業界のトータルな収益は上がると考えています」(ニフティ株式会社 サービス企画部リーダー 石井健太郎氏)

 一方、日本ヘラルド映画株式会社の栗橋三木也氏はネット映画館についての期待をこう語る。 


日本ヘラルド映画株式会社 テレビ部 マネージャー 栗橋三木也氏

 「『TRAFFIK トラフィック!ザ・シリーズ』はもともとスカイパーフェクTVで放映することが決まっていました。本当は映画版『トラフィック』と同時期に放映するのがベストですが、TVだと番組編成の調整があってすぐに放映するというわけにはいかないことが多い。ところがネットだとエンコードしてしまえば、準備期間はほんの数週間ですぐに上映できる。作品を買ったらその翌週には配信できるといった勢いです。こういうネットの素早さにはものすごい期待感があります。もしかすると、今後まったく違う文化が生まれるのかもしれないとワクワクしています。また、ネットの映画館を楽しんだ人には本当の映画館に足を運んで欲しいですね。ビデオ、ネット映画館、リアルの映画館、それぞれの特徴を生かした映画の楽しみ方を味わって欲しい」

 サービス立ち上げ時から「Cineplex@nifty」への反響は予想以上に大きかったという。次回作はアップリンク配給の数タイトルが決定しており、さまざまな配給元からの売り込みも多いそうだ。今後どんな作品が上映されていくか、期待大だ。

 

●そのほか、映画本編が観られるサイト
 まだまだ映画本編の配信サービスを行なっているところは少ない。以下に紹介するサイトはそれぞれまったく違う方向性を目指している個性派揃いだ。

■「AII」
http://www.aii.co.jp/home/category/movie/index.html

 CATVユーザー向けにブロードバンド配信サービスを行なっている。「つんくタウンFILMS」の4作品(料金は1本400円。4本まとめて購入すると1,000円)や村上龍原作、三池崇史監督作品「オーディション」などが鑑賞できる(料金300円)。

■「JMN・ZAK」
http://www.zaq.ne.jp/jmn/
 


いわゆるVシネマ系の放映が多い「JMN・ZAK」

 関西のCATVインターネットサービス「ZAQ」が提供する無料映画配信サイト。商業ベースの作品を1カ月ごとにタイトルを替えて配信している。現在はハードボイルド・アクション・ムービー「ブレイクヒート~バクの胃袋をひらけ~」が放映されている。

■「WAKWAK名画劇場」
http://www8.wakwak.com/movie/

 バスター・キートンやチャップリンなど、20世紀前半のクラシック映画を配信している。フェリックスのアニメーションやマン・レイ等のシュールレアリスム作品など、普段なかなか観られない作品のラインナップが嬉しい。料金は100円~。

 

●映画の予告編や記者会見が観られるサイト
 映画館に行く楽しみの1つが映画の予告編鑑賞という人は多いのではないだろうか。騙されることもあるけれど、映画を観にいくかどうかの決め手に役立つ予告編。これまでは映画館や偶然TVCMで遭遇する時にしか観られなかった気になる作品の予告編がネットではいつでも楽しめるのだ。

■「ISIZE MOVIE」
http://www.isize.com/movie/

 リクルートISIZEの映画コーナー。「映像ステーション」カテゴリーの中に近日公開予定や公開中の映画の予告編がある。マイナーな作品も揃えてあり、予告編を観ながら映画のストーリーが読めるのが便利。

■「cinema-imagica.com」
http://www.cinema-imagica.com/

 イマジカが運営している映画情報サイト。「streaming archives」では公開日順に予告編が掲載されている。月別にも整理されている。

■「COMIN'SONN TV」
http://www.cs-tv.net/
 


雑誌ぴあと連動している「ぴあCinema Clip」

スカイパーフェクTVの映画情報チャンネル「COMIN'SONN TV」の公式サイト。「ぴあCinema Clip」に予告編が多数ある。また、監督や俳優の来日記者会見を可能な限りノーカットで放映する「Press!Press!Press!」コーナーがある。

■「Mega-Channel」
http://mega-channel.com/

 ソニー提供のインターネット放送局。毎週更新で新作映画の予告編をアップしている。また、最新のハリウッド情報などを動画で楽しめる。

■「フォーリンTV」
http://www.ftv.co.jp/

 インターネットTV局の老舗。「MovieChannel」のコーナーでは予告編のほか、記者会見や舞台挨拶の映像を楽しめる。

■「とれなび」
http://www.venus.dti.ne.jp/~tn0608/
 

 予告編サイトにリンクが貼られているサイト。50音順に映画の予告編が整理されており、日本未公開の作品なども充実。個人のサイトでこれだけ集めているのは立派だが、映画自体の情報はあまりないので、映画通じゃない人だとちょっと辛いかもしれない。


シンプルなデザインの「millions」

■「millions」
http://www.millions.co.jp/ 

 新着映画の予告編を集めたサイト。シンプルなサイトのデザインが見やすい。作品および出演者の情報も読みやすく紹介されている。

■「えいがなび」
http://www.eiganavi.com/

  映画予告編専門のサイト。ランダムに予告編を再生してくれる「予告編おまかせボタン」がユニーク。

 

●海外のサイト
 海外のサイトには国内では見られない貴重な映像がいっぱいある。語学の壁はきついけど、ただ眺めているだけでも楽しいサイトを紹介しよう。

■「MGM.com」


予告編上映の前にちゃんとMGMライオンが吠えてくれる「MGM.com」

http://www.mgmua.com/ 

 MGM映画の予告編が観られるほか、俳優のインタビュークリップや名場面集などもある。古い作品の予告編もあり、かなり楽しめる。

■「warner bros.」
http://www2.warnerbros.com/web/main/index.jsp

 ワーナーブラザーズの公式サイト。新作から旧作まで予告編が充実している。映画ポスターの画像などもあり、映画ファンにはたまらないサイト。

■「Netbroadcaster.com」
http://www.netbroadcaster.com/

 映画本編のほか、予告編も配信している。コメディー、ホラー、アクションとジャンルは豊富。メジャーな作品もあるが、まったく聞いたことのないような作品もあり興味深い。

■「IFILM」
http://www.ifilm.com/

 インディーズの映像クリエイターなどが登録できる短編映画サイト。高画質ではないが、個性あふれる作品を鑑賞できる。

■「atomfilms」
http://www.atomfilms.com/

 世界各国の短編映画が観られるサイト。シュールなアニメから実験映画的作品まで、世界の広さを痛感。

(2001/5/14)

[Reported by tanimoto@impress.co.jp]


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