|
ブロードバンドの拡大を背景に、ストリームで映像番組を配信する“インターネット放送局”が続々と登場しているが、ディーテレビ(D-TV)が一風変わった“番組”の配信事業を展開している。音声のみを「Windows Media Player 7」向けにストリーム配信し、これに同期しながら指定されたタイミングでウェブページを自動表示するというものだ。音声のエンコードは20kbpsとなっているため、ナローバンドユーザーでも楽しめる。現在、連続ラジオドラマやクルマの情報番組を制作しており、同社ウェブサイトのほか、ISPのBIGLOBEやコアラを通じて配信されている。
番組配信サービス自体は3月から開始していたが、番組の間や最後に表示する“CM枠”の販売が5月より開始された。これにより、CM料で番組制作や運営をまかない、視聴者には無料で配信する“民放型”のインターネット放送局を目指す。広告収入による運営は他のインターネット放送局でも多く取り入れていることだが、「D-TVはバナーではなく、フルページ広告だという点が強み」(大澤憲二常務取締役)。長所として、商品のスペックなど詳しい情報まで表示できるとともに、URLがブラウザーの履歴として残るため、ユーザーが能動的に再度アクセスしてくる可能性もあるという。
配信する番組については「マスではなく、エッジを狙う」としており、専門性を追求した番組を編成。各番組の視聴者層を絞り込むことで、広告のターゲティング効果を高める。現在は立ち上げたばかりのため、配信中の女性向けドラマや外国車専門番組はすべて自社で企画・制作したものだが、今後はプロダクション他社とも連携し、扱うテーマを拡大していく予定だ。表示するウェブページ上に問題と選択肢を表示して視聴者に回答してもらうことも可能なため、「教育番組にも効果的なのではないか」としている。なお、クルマの番組では一部で走行シーンなど映像も含めたストリームも使用しており、今後はブロードバンド対応番組も増やしていく考えだ。
D-TVではこれまで、企業のウェブサイトなどに自動ナビゲーション機能を追加するサービス「ナビラヂ」を提供していた。番組コンテンツと同様、音声案内に同期して既存のウェブページを順番通りに自動表示していくもので、膨大なページの中からお勧めのページをピックアップして紹介したり、商品説明などに効果を発揮する。すでにトヨタ自動車や中日新聞社に納入実績があるという。既存のページを利用して5分程度のナビゲーションを制作する場合、料金は30万円程度。料金には放送作家によるシナリオ作成から声優によるナレーションや音楽の吹き込み、エンコード、サーバーへのインストールまでが含まれる。
(2001/5/14)
[Reported by nagasawa@impress.co.jp]