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Webを使うときに匿名でさまざまなサイトを訪れるようにできるサービスを提供しているプライバシーソリューション企業の米SafeWebが、学者やコラムニスト、プライバシー問題の専門家などを集めた諮問評議会を同社に設置することを明らかにした。
この諮問評議会は、SafeWebに対して一般的な企業戦略に関するアドバイスを与えるほか、サービスのポリシーや慣行を監督し、インターネットのプライバシーを守るという同社の啓蒙活動を行なう際の連絡係となることが目的だ。
SafeWebを含む同様の匿名サービスを提供している企業は、クラッカーなど悪質な目的に利用されることもあり問題となっているが、一方で中国やベトナム、シンガポールやその他一部の先進国などで、インターネットでのアクセスを制限している国の国民が自らの危険をさらすことなくさまざまな情報にアクセスできるように手助けするという側面を持っている。体制を混乱させるような情報を国民に見せたくないと考える国では、こうした匿名サービス自体へのアクセスを制限しているが、実質的にはサービス側の迅速な対応によってイタチごっことなっているのが現状だ。一部の自由主義者たちにとっては、「通信の自由」や「コンテンツの自由」といった“自由”を守るためにこうしたサービスが必要だと考えており、匿名サービスは単なる企業活動というよりは政治活動、社会活動の趣も持っている。
こうした状況のなかで諮問評議会を設置することについてSafeWebの共同創業者でCEOのStephen Hsu氏は「我々が諮問評議会を設置した主な目的は、我々にアイディアと専門知識を提供できるようなプライバシーのための知の集積地を築きたいのだ」とコメントした。
評議会に加わる専門家は以下のとおり。 |
・Bernardo Huberman氏 |
~ヒューレットパッカードサンドヒル研究所部長、スタンフォード大学応用物理学科顧問教授 |
・Jerry Kang氏 |
~カリフォルニア大学ロサンゼルス校ロースクール教授 |
・Lawrence Lessig氏 |
~スタンフォード大学ロースクール教授、コラムニスト |
・John Naughton氏 |
~英国オープンユニバーシティー上級講師、英国ケンブリッジ大学 フェロー、インターネットコラムニスト |
また、CDT(Center for Democracy and Technlolgy)もプライバシー諮問評議会のオフィシャルオブザーバー・出席者となることに合意している。これら諮問評議会のすべてのメンバーはボランティアでこの活動を行ない、いかなる報酬受け取ることもない。またSafeWebは同社の株式の一部をEFF(Electronic Frontier Foundation)とEPIC(Electronic Privacy Information Center)に寄付することを表明している。
(2001/5/14)
[Reported by taiga@scientist.com]