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■URL
http://www.ilor.com/
サーチエンジンのGoogleは検索精度の高さとシンプルさが人気を博しているが、ナビゲーションの点においては既存のサーチエンジンとそれほど変わらない。これに目をつけたのが新しい「サーチエンジン」とも言える「iLOR」だ。iLORは現在ネットで静かな話題を呼んでいる。
iLORは、厳密にはサーチエンジンとはいえないだろう。なぜなら検索機能そのものはすべてGoogleのものを使っているからだ。むしろiLORはGoogleの上に被さる形で、ナビゲーションを大幅に改善する。
iLORで検索するとGoogleで行なった検索結果がそのまま画面に表示され、何も変化がないように感じる。しかし、一度リンクの上にマウスカーソルを置くと、iLOR独特のナビゲーションが表示される。その中の「put in my list」をクリックすると、新しいウィンドウが表示され、その中に該当リンクが保存される。たくさんの検索結果がある場合、自分が後でみたいサイトをまとめて登録しておけるので、思考を中断することなく検索結果を選別する作業に集中することができるという優れモノの機能だ。また、このリストに保存してあるリンクをそのままメールで送信することもできる。検索する際にエディターにリンクをコピーする人も多いだけに、メールでまとめて自分宛に送信しておけば備忘録にもなり、友人と共同作業しているときなどに検索結果を共有することもできるだろう。
この機能はiLORで表示されるバナー広告にも応用されている。バナー広告に興味を持つ場合でも、自分の今行っている作業を中断されたくないために広告をクリックしないといった経験を持たれる方は多いだろう。iLORではこの問題を解消するために、バナー広告を保存しあとで見ることができるようにしている。これは同社によるとバナー広告の収入を大幅に増大することができる機能だという。
さらに「anchor here」をクリックすると、現在いるページのリンクが保存されるウィンドウが表示され、それからどこのサイトに行ったとしても、希望するページにすぐに戻ることができる。これはサーチエンジンで表示された検索結果の中を吟味しているときに特に便利な機能といえよう。そのほかにもバックグラウンドで検索結果を読み込む、また新しいウィンドウを開いて検索結果を表示する、などの機能も用意されている。
このようにGoogleの高度な検索機能を利用しながらナビゲーションを大幅に向上させるiLORだが、問題もまだ多い。例えばGoogle自体は日本語や他の言語にも対応しているが、テストしたところ現時点でiLORには日本語が通らない。これは日本のユーザーにとっては残念なことだろう。また、iLORの提供する機能は正式にはInternetExplorerにしか対応しておらず、Netscape Navigatorでも一部の機能は利用できるようだが正式にサポートされていない。ほかにはGoogleと似たようなツールバーも用意されているが、これもInternet Explorerにしか対応していない。
Googleはこれまでも他のサーチエンジンに対して自社の検索機能を提供してきている。検索機能を利用される度にライセンス料を請求しているため、iLORに対しても同様のライセンス料を請求するものと思われ、Googleのビジネスモデルに影響はないだろう。iLORはこのナビゲーション機能に関して知的所有権を主張しているため、Googleや他のサーチエンジンが全く同様のナビゲーションを提供することは難しいかもしれないが、iLORの評判が高くなれば他のサーチエンジンもナビゲーション機能を向上させるために何らかの動きを見せるかもしれない。
(2001/5/18)
[Reported by taiga@scientist.com]