【業界動向】

PKIソフトの相互運用性を促進する組織「OpenPGP Alliance」が結成される

■URL
http://www.openpgp.org/news_events/press_releases/

 アイルランドの暗号技術開発企業Hush Communicationsをはじめ11の企業が29日(アイルランド時間)、「OpenPGP Alliance」の結成を発表した。この組織は現在さまざまな場所で用いられているPKIソフトの相互運用性を高めるため活動を行なう。OpenPGP Allianceの発足時に参加した企業の中には携帯電話大手の米Qualcomm、Hush Communications、SSH Communications Security、Zero-Knowledge Systemsなどが含まれている。

 OpenPGPは、1991年にPhil Zimmermann氏によって開発された暗号ソフト「PGP」に基づいて作られた公開鍵暗号の標準規格のひとつ。1997年にはIETFに規格の申請がなされた。現在はIETFの標準規格「RFC2440」となっており、どの企業でもライセンス料などを支払わずにOpenPGPに基づく暗号ソフトを開発・販売することが可能だ。

 しかし、現在利用されているさまざまな暗号ソフトには微妙に互換性に問題が生じているため、企業の内部など閉ざされた環境の中で用いられることが多かった。今回結成されたOpenPGP Allianceでは、こうした暗号ソフトの間の技術的な互換性のテストを行なうほか、加盟企業に対して教育や共同マーケティングの機会を開くことで暗号の普及を図る。

 この組織の結成について、PGPの原作者であり現在はHush Communicationsのチーフ暗号技術者、また、今回のOpenPGP Allianceの創設者でもあるPhil Zimmermann氏は「PGPが難解な暗号化プログラムから何百万人もの世界中のユーザーのプライバシーを守るためのデファクトスタンダードになり得たのは世界的規模の協力の精神があったからだ。異なった暗号化メールシステムがうまく動作することをみんなで協力して確認すれば、企業は自分たちだけでやっていく孤独感を感じる必要はなくなる」と協力の必要性を説いた。またQualcommのプリンシパルエンジニアJohn Noerenberg氏は「OpenPGPは、その媒体が有線接続、無線接続、光接続あるいはその他の接続方法であるかにかかわらず、暗号化や認証のための素晴らしい基盤を提供してくれるものだ」と将来の応用の拡大に期待を寄せている。

(2001/5/30)

[Reported by taiga@scientist.com]


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