|
エッケ・ホモ(Ecce Homo)。ラテン語で「この人を見よ」という意味だ。最近、個人運営のWebサイトに変化が起きている。芸能人や文化人といった、いわゆる有名人ではない“無名”な一個人が開設しているWebサイトの中で、商業サイトに匹敵するほどの人気を博しているところが増えてきた。
Webという強力な情報発信ツールにより我々は、文才や特定のコネクション、もしくはチャンスをつかまなければなれなかった文筆家よりも簡単に、自己主張を発信できるようになった。また、ミニコミ誌の限界であった配信エリアの狭さを克服し、情報への接近を容易にした。
現在の個人サイトは次のように分類できるかもしれない。1つは、家族や親類、親しい友達などの近い人間に対して何かを伝える“内輪”向けのサイト。もう1つは、不特定多数に対して何かを伝えようとする“外”向けのサイトだ。後者はさらに、あまり人に知られていないサイトと、ある程度の固定客をつかんでいるサイトに分けられるだろう。このような構図の中で、1日に数万ヒットを稼ぐ“バケモノ”サイトは、他のサイトと何が違うのだろうか。
今回の特集では、比較的最近開設されたサイトで100万ヒット(アクセスカウンターベース)を超えている個人サイトをメガヒット級のサイトとして、4つ紹介したい。そのうち2つは、開設後半年と経たずして100万ヒットを達成している驚異的なサイトだ。そのようなサイトの管理人とはどのような人なのか。まさに、刮目してこの人を見よ!
●インフラ系ニュースサイト「ほんわかキリン本店」
このサイトは、主にxDSLなどのブロードバンドインフラニュースを扱っているところだ。大手ニュースサイトの記事へのリンクだけでなく、そのようなサイトが扱わない地方の小さなプロバイダーのプレスリリースなどに、コメントをつけて公開している。また、定額通信ISP一覧やDSL業者の非公式掲示板リンクなど、まさにブロードバンド・常時接続関連情報のポータルサイトと位置付けられるだろう。今回は、ちょうど100万ヒットを達成した日に管理人のand氏にインタビューすることができた。
IW:サイト開設に至った動機はなんですか?
and:ニュースサイトにリニューアルする前は、身内向けにCG画像を公開しているサイトだったのですが、「TECHSIDE」さんを見て、自分でもニュースサイトをやってみたいと思いました。ちょうど、仕事がない頃だったので、時間はありましたね。
IW:なぜインフラ系ニュースサイトを選んだのでしょうか?
and:ちょうどその頃、NTTがADSLを開放しました。自分の性格は、どちらかというと大よりも小を応援したい人なので、東京めたりっくなどの新しい業者を応援したかったんです。それに、当時はADSLっていっても普通の人はなじみのないものだったので、みんなに知られるようになれば、自分の住んでいる地域にも回線がくるかな、と思ってました。
IW:実際に、ADSLは導入できたのですか?
and:いや、試してみたのですが、ダメでした。もし光アクセスが住んでいるエリアにくれば、今の提供価格でも使うんですけどね。
IW:1日の作業時間はどのくらいでしょうか?
and:情報の収集なども含めれば5時間くらいでしょうか。ページを更新できない時でも、ニュースがあれば、掲示板に書き込んでおいて、家に帰ってから更新します。情報収集は、ニュースサイトを定期的に巡回したり、Webページ更新チェックソフト「WWWC」を使ったりですね。ヤフーなどの検索エンジンで「ADSL」などのキーワードで検索した結果でてくるURLを「WWWC」に連携させてます。
IW:サイトを運営していて嬉しかったことはなんですか?
and:読者からもそうですが、DSL業者さんから「みてます」ってメールが来ると嬉しいですね。自分のやっていることが認められている感じで。
IW:逆に、苦労はありますか?
and:仕事に就いて、時間がままならなくなったことですね。それでも、仕事場からもいろいろやっていますけど。
IW:およそサイト開設から1年半で100万ヒットを達成しましたが、心がけていることはありますか?
and:ニュースがない日とか、忙しい日でも、かならずコメントだけは更新するようにしています。やはり、見にきてくれた読者に「何も更新されてない」とがっかりされるのは嫌ですね。
IW:サイトの運営でお金を得ようと思ったことは?
and:バナー広告は出していますけどね。例えば、コラムを書くとかはしません。長い文章を書くのは苦手ですから。むしろ、お金を貰っていないから独立しているというか、自由気ままにやれるのがいいです。これからも、自分の興味のあるトピックを追いかけていこうと思っています。
IW:ありがとうございました。
★サイトデータ
管理人: and (20代 男性)
サイト開設: 1999年11月26日より現在のニュースサイトになる
サイト名の由来: and氏が主催していた草の根ネット「ほんわかキリン☆ミNET」から
1日あたりのPV: 2,500~4,000
コンセプト: コストパフォーマンスのよい常時接続情報を提供。xDSLや無線接続、PHS関連ニュース
●ゲーム・PC系ニュースサイト「TECHSIDE」
数あるニュース系個人サイトの中でもトップクラスに位置するサイトがここだ。主にゲームやPC、インターネット関連のニュースを扱っている。そのほか、時事ネタや「2ちゃんねる」ネタにも目配りしていたり、白血病治療薬の検証を行なうP2Pプロジェクトのチームを主宰している。また、サイト自体が「スタートページ」として使えるようにデザインされており、各種ニュースサイトや情報サイトのリンクが充実している。今回お話をうかがった管理人のTECH氏は、ごく普通の大学生だった。
IW:サイト開設に至る動機はなんですか?
TECH:かつてはニュースサイトがなかったんです。高校2年生くらいで“ネットジャンキー”になりまして、ないならば作ってしまえと。当時は、身内向けに知ってるとちょっとした話の種になるようなニュースを集めていました。それから、デザインなどでは、「SMALLNEWS!」(*1)さんに影響を受けてます。
IW:TECH氏の興味に応じて、扱うニュースの対象が変わったとのことですが?
TECH:工学系の人間なので、最初はアンダーグラウンドな技術を扱っていました。でも、「裏ニュース!」(*2)さんが充実してきたのでもういいかなと。その後、PC系やデジタル音楽系を扱うようになって、今ではゲーム情報が多くなりましたね。
IW:人気のあるニュースサイトになって、何か変わったことはありますか?
TECH:最初のころはヒット数は気になりましたね。その頃は、スタートページとして多くの人に使ってもらいたかったです。でも、今はあまりヒット数は気にならなくなりました。自分の興味のある情報を更新してますからそれで十分ですね。
IW:1日の作業時間はどのくらいですか?
TECH:だいたい5時間くらいです。情報は「WWWC」を使って企業のプレスリリースをチェックしたり、ニュースサイトをタブブラウザーで巡回したり。それから、自作のPerlスクリプトも走らせてます。最近では、読者が掲示板に情報を書き込んでくれるので、随分助かってますね。
IW:ニュースだと、毎日更新しなくてはならないと思いますが、苦しく感じたことはありませんか?
TECH:苦しいと思ったら寝ます。でも、毎日読者が来てくれるので、更新しないと悪い気がするようになりました。
IW:叩かれたことは?
TECH:ありますね。お前のところは人様のニュースばかりリンクして、自分で取材しろとか。あまり気にしませんでしたけど。ただ、そういうメールの中に、理路整然と間違いを指摘していたものなどは、参考にさせてもらいました。
IW:逆に嬉しかったことは?
TECH:オフ会に招待されるようになったことですね。それと、リンクを使ってくれる人がいることと、最近では掲示板が盛り上がっていることですね。とにかく、何らかの反応が返ってくることは嬉しいです。
IW:人気サイトになった理由はなんでしょうか?
TECH:ニュースは毎日更新しているのですが、その性質上、アクセス数は横ばいですよ。「TECHSIDE」は、横ばい→急上昇→横ばい→急上昇を繰り返してます。
IW:急上昇の理由というのは?
TECH:「特集」です。多くのサイトや掲示板で話題になって見に来る人が増えます。特にPS2で海外のDVDを再生する時の特集でぐんと伸びました。また、近いうちに何か書こうと思ってます。
IW:これからも「TECHSIDE」は変わっていくのですか?
TECH:そうですね、マイペースに。就職したらどうなるかわかりませんが、名前は残したいと思います。
IW:ありがとうございました。
*1……「SMALLNEWS!」 コンビニの新製品情報など身近なニュースを扱うサイト
http://www.smallnews.net/
*2……「裏ニュース!」 フリーウェアやエミュレータなどのニュースを扱うサイト
http://www.uranews.com/
★サイトデータ
管理人: TECH (23歳 男性 大学生)
サイト開設: 1999年8月
サイト名の由来: 開設当初は「技術の横」、転じてアンダーグラウンドな技術を扱うサイトだった
1日あたりのPV: 60,000(ユニークユーザーは約30,000)
コンセプト: アングラ情報→PC情報→ゲーム情報と変遷。その時、自分が気になる事柄を取り上げる
●ネタ日記のトップサイト「侍魂」
先の2サイトは、ニュース系のサイトだったが、この「侍魂」は“テキスト系”と呼ばれているサイトの革命児だ。サイト開設からおよそ半年で2,000万ヒットを突破、一気に“テキスト系”の天下を獲った。また、少年マンガなどでも取り上げられた「先行者」(*3)という中国のロボットを広く知らしめたのも、このサイトである。
“テキスト系”というのは、その名の通りコラムや日記などのテキストを読ませるサイトだ。「侍魂」が人気なのは、ネタの選び方が秀逸で、またそれを斬る切れ味が鋭いのだ。さらに、ベタ打ちのテキストではなく、読ませるための演出に凝っていて、読者の笑いのツボを必ず刺激するのだ。管理人の健氏が、快くインタビューに応じてくれたので紹介したい。
IW:サイト開設に至る動機はなんですか?
健:2000年の夏ごろから、ぼんやりとサイト開設を考えていました。友達がいうには、私の体験(思い出)は「伝説」として語り継がれてもおかしくないほど面白い話ばかりなんだそうで、じゃあ、それを公開しようと。しかし、いきなり見も知らすの人の「思い出話」をしても、読んでくれる読者がいないだろうと思って、まずは日記の形で「健」を知ってもらうことにしました。
IW:ジャブを打ち続けていたら、それで世界を制してしまったと?
健:そうですね。それと、どこまで個人運営のネタ系日記でいけるのかを知りたい。コンセプトとしては、何かがあったら、その面白いところを見つけて語る。たいてい、オチが先に見つかっていて、そこまでの持って行き方を考えちゃいます。大体、1日の作業時間は2時間以上。テキストができていても、間合いのとり方で時間がかかってしまうこともしばしばです。
IW:「侍魂」のテキストは、独特な文体です。一般的に、してはいけないと言われる無駄な改行などが、さらに笑いを増幅していると思いますが?
健:「アンチ侍魂」を掲げる人などに叩かれることはあります。でも、伝統的なテキストオンリーのページは、伝えたいことがたくさんあって、論理的にきっちり構成できる文章には向いていると思いますが、侍魂のように「ぱっと見て気軽に笑える」文章を書くためには、演出は必要だと思います。改行で間をあけるやり方は、まさに会話における間の取り方と同じ。ネタの文章は完成していても、この「間」の計算に時間がかかってしまいます。
IW:フォントの大きさを変えたり、色を変えたりするのも?
健:会話の中で相手に伝えたい言葉を強調するのと同じことです。でも、もともとフォントをいじるやり方は、「A_prompt」(既に閉鎖)というサイトで使われていた「ABC文調」と呼ばれているやり方なんです。これを、「ファーニーゲーマーズヘブン」(既に閉鎖)というサイトが、進化させて使っていた。ここの影響を大きく受けてます。
IW:「侍魂」の爆発的ヒットの一般的な要因は、やはり「先行者」ですか?
健:たしかに「先行者」を知った時には、「これは絶対にいける」と思いました。当時、“テキスト系”のトップサイトだった「ろじっくぱらだいす」(*4)さんを抜けるかもしれないと思いましたね。でも、ヒットの要因は他にもあるんです。
IW:それは「ヒットマン事件簿」でしょうか?
健:そうです。「侍魂」の人気が出始めたのは、「ヒットマン事件簿」を公開したころなんです。当時は1日あたり1,500ヒットで、ネタ・テキストサイトの枠組みの中で認知されてきたかなという頃です。その時の「ろじっくぱらだいす」さんがおよそ3,000~4,000ヒットという感じでした。「ヒットマンなくして先行者なし」と思ってます。ヒットマンで固定読者をある程度獲得していたからこそ、「先行者」の公開と同時にヒット数が増えたんです。
それから、「先行者」で、ネタ・テキストサイトの枠を打ち破ったと思います。つまり、それまで“テキスト系”と呼ばれているサイトを知らない読者を、1日平均20万人取り込んでいったということです。IW:「先行者」ネタは、どのようにして作られたのでしょうか?
健:最初は、「軍事兵器『先行者』が台湾海峡を渡って来て中国と台湾が戦争になる。台湾側は、米イージス艦など新鋭兵器で応戦し、AIBOが先行者の股間に噛み付く」といった「一人ボケ一人ツッコミ」的なものでした。でも、面白くなくて満足できなかったので「ツッコミ」系の文章として全面改訂しました。1週間くらい推敲を重ねて、友人に読んでもらった反応を確かめながら、分量や構成を考え抜いて公開したんです。
IW:その後、個人サイトとしては日本最大級のサイトに成長しましたが、メールも大量に送られてきますか?
健:メールは、「時間がかかっても返事を返す」と宣言していたころで、1日平均400通に達しました。中には非難中傷といったものもありましたが、多くは応援メールです。「返事を返せない」と宣言をしてからは、公開したネタによって100通~300通が毎日届きます。ネタ日記サイトにしては、珍しいことだと思うのですが、7割が女性からのメールなんです。下は小学生から上はお年寄りまで、どうやらOLさんからのメールが多いみたいですね。7月18日の公開半年記念には、1日に1,200通以上のメールが届くという記録を達成しました。メールは全部読んでいます。
IW:女性、特にOLが多いというのは面白いと思いますが、他にも特徴はありますか?
健:リンク先に与える影響というか、読者がどこに流れて行くのかを見ていると面白いですよ。移動ログを見ると、「にがしお」(既に閉鎖)、「POPOI」(*5)といった女性が運営しているサイトや、「一流ホームページ」(*6)という妄想系エッチ話の3サイトがずば抜けて多かったです。この「一流ホームページ」では、思わずキャッと顔を覆いつつも、指の隙間からちらっと読んでしまう感じみたいです。どうやら、読者全体を見ても女性が多いようです。
IW:「アンチ侍魂」とか中傷メールというお話がありましたが、やめたくなったことは?
健:ないです。中傷メールが毎日届いた時期は、鬱になってやめたいと思いましたが、一方で、多くの読者が楽しんでくれるという事実もあって、やめたいのにやめたくないという奇妙な精神状態になりました。
また、「ReadMe!JAPAN」(*7)のランキングが、あれよあれよと言う間に上がり始めて、当時1位の「裏ニュース!」、2位の「TECHSIDE」は抜けないにせよ3位にはなれるかもしれないと思いました。男である以上、天下を取りたいという思いはモチベーションになりますよ。IW:人気サイトでありつづける秘訣はなんですか?
健:たった一言のコメントでも構わないので毎日更新することが重要です。多くの人に知られていない段階から、毎日更新することに意味がないとは思いませんが、むしろ「これだ!」という波をつかんでからでも遅くないと思います。「侍魂」の場合は、健という人物が書く文章で読者が笑った時、つまり読者が管理人を好きになったら、コメントしか更新されていなくても嬉しくなるものですよ。一度つかまえたお客さんは離さないことが重要だと思います。
IW:1日に20万ヒットという数字についてどう思いますか?
健:20万ヒットというと爆発的な人気サイトと言われますが、逆に20万ヒットしか残せなかったと思ってます。「先行者」のページに対して、ピーク時には1日20万ヒットがあったのですが、同じネタを同じ人が毎日見ることは考えられない。だからあの時100万人くらいの人が見に来てくれたと思うんです。
IW:つまり「侍魂」には100万人のポテンシャルがあると?
健:そうですね、こういった一見さんを全部取り込んでいけるだけの力が、私には足りなかったということです。もっとも「侍魂」を、特にいじる必要はないです。これからも「侍魂」で続けていきます。やる気さえあれば、ネタ系日記は死ぬまで書けますよ。ただ、今欲しいモノはありますよ。ノートパソコンなんですけど、「侍魂」の更新があるので長い旅行に出かけられないんです。
*3……「先行者」 中国の国防大学が開発した人型ロボットのこと
http://www6.plala.or.jp/private-hp/samuraidamasii/tamasiitop/robotyuugoku/robotyuugoku.htm
*4……「ろじっくぱらだいす」 日記系サイトの総本山と呼ばれているサイト
http://www.juno.dti.ne.jp/~logicp/index.html
*5……「POPOI」 女性管理人が彼氏との会話や日常生活を日記で公開
http://www.fsinet.or.jp/~popoi/
*6……「一流ホームページ」 妄想系エロ日記サイト
http://www.vinet.or.jp/~katsu/
*7……「ReadMe!JAPAN」 読み物系のランキングサイト
http://readmej.com/
★サイトデータ
管理人:健
(23歳 男性 大学生)
サイト開設:2001年1月18日
サイト名の由来:もともと日本好きで、昔ながらのきれいな日本語に深い憧憬があった。ネットで発言する以上、叩かれることもあろうという覚悟を、タイトルで表したかった。
1日あたりのPV:200,000(ユニークユーザーは約110,000)
コンセプト:1日1回、「気軽な話」で笑ってもらえればいい。ぱっと読んで、気軽に笑えるテキストサイト
●テキスト系で一番ホットなサイト「バーチャルネットアイドル・ちゆ12歳」
現在、“テキスト系”で急成長しているサイトがここだ。管理人が「仮想世界に生きる”電子の妖精”ちゆ」という設定や、サイトの色使いなどのデザインから、一見とっつきにくいサイトのようだが、開設5ヶ月で200万ヒットをたたき出している実力派のテキストサイトである。主に扱っているネタは、時事ネタから特撮番組、漫画、アニメなどのサブカルチャーまで多岐にわたる。ネタに対するツッコミのセンスや、それをサポートする圧倒的な雑学知識が高く評価されている。何かと謎の多い“ちゆちゃん”がチャットでインタビューに応じてくれた。
IW:サイト開設に至る動機はなんですか?
ちゆ:思いつきで適当に、としか。コンセプトとか、あまり深い意図はないです。最初は身内向けでしたし。自分のサイトがテキストサイトだと自覚したのは、開設して1ヶ月くらい経ってからですから。レイアウトは「裏ニュース!」さんを参考にさせて頂きました。
IW:短期間に200万ヒットを達成したましたが、感想は?
ちゆ:どうして読みに来てくださる方がおられるのか不思議です。何が面白いのでしょうか。
IW:つっこまれてから、納得させられてしまうこともあるし、深い雑学知識にも驚かされるます。
ちゆ:買いかぶり過ぎだと思います。知識なんて、ほとんどハッタリですけれど。
IW:人気があるということは、それほど重要なことではないのですか? また、開設当初と何か変わったことはありますか?
ちゆ:やっぱり数字や人の目は気になる方です。人数に左右されるのもおかしな話なのかも知れませんけれど、読んでくださる方が多くなると、その中に関係者の方がおられる可能性も高くなりますし、多少、気を使って書くようになったかなと思います。特に初期は何も考えずに書き飛ばしていましたから。
IW:1日の作業量はどのくらいですか?
ちゆ:日によってまちまちですが、1日数時間くらい。日常生活に支障が出ない程度です。余裕がある時は1つのニュースに10時間くらいかけていたりしますけれど。
IW:運営していて、嬉しかったことは?
ちゆ:はじめて、身内以外の方が掲示板に感想を書き込んでくださった時。文中リンクされているのを見つけた時。アスキーアートを作って頂いたり、ちゆの絵を描いて頂けたときはすごく嬉しいです。特に、江田恵一さん(ゲーム製作やアニメのメカニックデザイナー)やZERRY藤尾さん(漫画家)といったプロの方に描いて頂けた時は嬉しいです。
IW:反対に、つらかったことは? 毎日更新するのは大変ですか?
ちゆ:すぐに思い浮かばないのです。更新作業は、確かにちょっと大変ですけれど、ほどほどにやっています。それより楽しいことの方が多いですので。
IW:100万ヒット達成時に、他のテキストサイトが一斉にレイアウトを「ちゆ12歳」風に変えた「ちゆデー」というのがありましたが。
ちゆ:周囲のサイト管理人さんが盛り上げてくださったみたいで嬉しかったです。感動してました。
IW:人気を維持するコツとか、心がけていることはありますか?
ちゆ:人気と言いますか、単純なアクセス数でしたら、頻繁に更新するサイトの方が多くなるとは思いますのでできるだけ毎日更新するようにはしています。
IW:爆発的なヒットの要因を分析すると?
ちゆ:自分ではよく分かりません。「勝てば官軍」で、アクセス数が多ければ好きなことが言えるとは思います。
IW:今後の「ちゆ12歳」は、どうなっていくのでしょうか?
ちゆ:今のような感じで、もうしばらくはダラダラと続けるつもりです。ああ、やる気が感じられないコメント。
IW:ありがとうございました。
★サイトデータ
管理人: ちゆ(設定上では12歳 女性)
サイト開設: 2001年2月14日
サイト名の由来: 本名
1日あたりのPV: 50,000(ユニークユーザーは約30,000)
コンセプト: 読者が判断してくれればよい
●メガヒット級の人気個人サイトになるには
今回は、非常に人気のある個人サイトの中からニュース系2サイト、テキスト系2サイトをピックアップしたが、このほかにもまだまだ人気の個人サイトは多い。この4つのサイトは、いずれもコラム・日記などの読み物を対象にランキングを行なっている「ReadMe!JAPAN」に参加している。ここでは、ランキングに参加するだけでなく、更新情報を不特定多数に対して告知できるので、人を集めるには非常に適したサイトと言えるだろう。
Webというと、絵や写真などを簡単に公開できるという特徴があり、それに目を奪われて、人が集まるサイトを運営するには、画才など芸術的センスが必要だと勘違いしていないだろうか。また、テキストサイトで大成できるのは、管理人に文才があるからだとあきらめてはいないか。
実は、インタビューをした人達の中に、自分は文才がないほうだと思うと答えた人が数名いた。彼らが心がけているのは、流麗な文章を書くことではなくて、自分の伝えたいことがどうやったら読者にわかりやすく伝わるかということだ。それが、絶妙の間を演出したり、ニュースに気の利いたコメントをつけたり、ネタを斬るときの切れ味になるのだ。
また、読者を大切に思うことは、見に来てくれる人のために毎日、一言でもいいからコメントを更新をすることにつながっている。結局、メガヒットサイトになるということは、個人の才能以上に、人と人とのコミュニケーションを大切にする努力なのだ。これは、読者だけでなく、他のサイト運営者をも巻き込んだムーブメントに発展することもある。
おそらく、現時点で人気がないと嘆いているサイトも、人気サイトに引けを取らないコンテンツを公開していることろがあるだろう。地道な努力の積み重ねを続けていれば、きっとチャンスをつかむことは可能だ。さらに重要なことは、その後も慢心せずに、良好なコミュニケーションを築くことと、常に自分が満足できるコンテンツを維持すべきことではないだろうか。
(2001/7/30)
[Reported by okada-d@impress.co.jp]