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■URL
http://www.acm.org/felten/
国際計算機学会(Association for Computing Machinery:ACM)は13日、現在コンピュータセキュリティーに関連して波紋を呼んでいるプリンストン大学の計算機科学者Edward Felten助教授と全米レコード協会(RIAA)との裁判に関して意見書を提出し、「デジタルミレニアム著作権法(Digital Millennium Copyright Act:DMCA)の一部が米国憲法に違反している」との見解を明らかにした。
この裁判は、Felten助教授がデジタル音楽の著作権保護機構を破る技術を分析した論文を公表しようとしたところ、RIAAから公表の差し止めを求められたものだ。多くの人が容易にデジタル音楽の著作権保護機構を破ることができるようになり、RIAAは多大な被害を被ることになるという理屈で、この裁判のためにDMCAが引用された。これに対しFelten助教授やEFFなどの団体が米国憲法によって保障された表現の自由を盾に争っていたものだ。EFFなどの一部の急進的な自由主義団体がFelten助教授を支持していたものの、今回世界を代表する学会がFelten氏を擁護する立場に回ったことは裁判に大きな影響を及ぼす可能性がある。
今回ACMは、米国ニュージャージー地裁にFelten助教授とACMの代表John R.White氏などとともに意見書を提出したもので、DMCAの一部の条項が、米国憲法修正第1条によって保障されている「言論の自由」を犯すことになると主張している。
提出された書類によれば、もしDMCAが学術論文にまで適用されるとすれば、コンピューターシステムの稀弱性を評価するような研究結果を公表できなくなり、その結果として科学の研究に重大な支障をきたすようになると指摘している。また、科学の研究はこのような自由な論文の公表以外に推し進める方法はないとも指摘。もし、DMCAが適用され続けるようなことがあれば、米国内での論文公表には多大なリスクを伴うことになるため、多くの優秀な研究者が米国での論文出版や会合、会議への出席をためらうようになり、結果として米国のコンピューターセキュリティー関連研究は大幅に遅れ、そのコミュニティーから疎外されることになると警告している。
これについてACM代表のWhite氏は「コンピューターテクノロジーに関する研究内容の出版をいかなる形であれ制限する法律を適用することは、アカデミックコミュニティー、科学論文出版のプロセス、そして社会全般に対して高い代償を支払わせることになることを裁判所は是非とも理解しなければならない。われわれはDMCAによる公的な制約が分析、研究、出版に対して冷や水を浴びせかける結果になると確信している」とコメントした。
(2001/8/14)
[Reported by taiga@scientist.com]