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【ハードウェア】

ブロードバンドの波に乗って市場拡大を狙う「iBOX」

■URL
http://www.jcc.co.jp/ibox2/
http://www.jcc.co.jp/new/ibox2/index.html

シルバーメタリックのスクエアなデザインとなり、従来のiBOXシリーズとはがらりと雰囲気が変わった
 日本電算機は、テレビでインターネットが楽しめるセットトップボックス「iBOX」シリーズの新製品を発表した。現行の「iBOX-1」をフルモデルチェンジした「iBOX-2」を9月1日より出荷する。CPUがPowerPC、OSがBSD系という従来のアーキテクチャーを大きく変更し、Intel互換チップとLinuxを採用。ブラウザーの強化や各種プラグインへの対応など、大幅な機能アップが図られている。

 ブロードバンド時代に対応するため、動画や音声コンテンツのサポートが不可欠と判断、プラグインの移植が容易なIntelアーキテクチャーを採用することにした。これにより、10月リリース予定の新ブラウザーでは、HTML4.01相当、Java Script1.3相当をサポートするほか、これまでは種類が限られていたプラグインの対応を強化。Flash、RealPlayer、PDF、MP3など、ウェブサイト上で多用されているプラグインやファイルがサポートされる。従来機種の4倍以上の描画性能も達成し、パソコンと遜色ない性能となったとしている。このほか、マイクから入力した音声をそのまま送受信できる「音声eメール機能」も新たに搭載される。

 iBOX-2では、アナログ電話回線に対応した「iBOX-2 DL」と、ブロードバンド対応版の「iBOX-2 BB」の2機種がラインナップされる。iBOX-2 BBでは、ADSLモデムなどとの接続を想定し、10Base-TのEthernetポートが用意されている。価格はオープンプライスで、実勢価格は4万円台となる見込み。SIなどを通じてエンドユーザーに提供するほか、店頭での小売りも行なう。

1997年12月に発売された「iBOX-1」
 iBOXは、非パソコン系の家庭用インターネット端末で先駆け的存在であり、初代モデルが1996年1月に登場。その後もコンスタントに改良が加えられ、今回発表されたiBOX-2は5世代目にあたる。これまでにシリーズ累計で30万台以上を出荷。OEMやSI経由での提供がメインとなっており、インターネットマンションや公共施設、大学病院の病棟などにおけるネット端末としての採用実績がある。また、NTT-MEのインターネット接続サービス「WAKWAK」のパッケージ向けにOEM提供している例も見られる。

 発表当時は、ネット端末といえばパソコンぐらいしか選択肢がなかった時代である。テレビ画面を見ながらリモコンで操作できるネット端末ということで、iBOXが大きな注目を浴びたのもうなずけるところだ。当時の本誌記事を見ても、「5万円のインターネット専用端末登場か?」(1996年1月8日号)、「家庭用で28.8kbpsのモデムを内蔵したモデルは58,800円」(1996年2月6日号)というような価格面、また、「電話線とモニターを接続し、ドライブソフトウェアと電源を入れるだけで簡単に使用できる」(1996年2月6日号)というような手軽さがクローズアップされている。

 ところが、こういったセットトップボックス市場は当初、成功したとは言いがたい状況だった模様だ。5年半前といえば、まだインターネット人口そのものが少なかった時代。サービスもユーザー層も限られており、iBOXがセールスポイントとしていた低価格面や手軽さをセールスポイントとするにはまだ時期が早すぎた。また、初期モデルではブラウジング性能の見劣り、プラグインへの未対応などで、先端を求めるネットユーザーには物足りなく映ったのも事実である。

 しかし、ここ1~2年でiBOXの出荷は大きく伸びているという。インターネット市場そのものが拡大したことで、セットトップボックスの強みをアピールできる層が生まれたためだ。また、住宅デベロッパーや通信販売会社などからの引き合いも増えるなど、IT系以外のチャネルへの販売も増加したという。

 同社では、今後ブロードバンドが普及していくのに合わせてさらにニーズが高まると見ており、iBOX-2について初年度25万台の出荷を予定している。これまで通りSI経由やOEMなどによる販売をメインに推進する一方、個人ユーザーへの販売も増加すると見込んでいる。また、ADSLプロバイダーなどの加入者へ供給するなどの展開も考えられそうだ。

(2001/8/23)

[Reported by nagasawa@impress.co.jp]


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