|
■URL
http://www.iab.net/news/content/08_28_01.html
http://www.gator.com/company/press/pr082801.html
米Gator.comの配布している広告表示ソフトが違法かどうかをめぐってGatorとオンライン広告の業界団体Interactive Advertising Bureau(IAB)が激しく対立していることが28日までに明らかになった。
Gatorが配布しているコンパニオンソフト |
問題となっているのはGatorの「Companion Popup Banner」というソフト。Gatorは、いわゆるブラウザーコンパニオンソフトを無料で配布している企業で、同社のソフトの中には比較ショッピング機能や検索機能、デジタルウォレット、複数のサイトのパスワード保存機能などが含まれている。このソフトの中に含まれている「Companion Popup Banner」は、ユーザーが検索している、あるいは現在開いているサイトの内容にもっとも適切な種類の広告をポップアップウィンドウの形で表示するというものだ。このウィンドウはブラウザーとは独立に表示されるもので、通常のウィンドウと同様にユーザーが場所を移動したり、閉じたりすることもできる。
これについてIABでは、Gatorの商慣行が違法である可能性が極めて高いとして連邦政府機関に対して調査を行なうよう求めていくことを発表。Gatorが表示する広告があたかも現在見ているWebサイトが自ら出している広告であるかのように見せかける点が問題だとしているほか、Webサイトと正規に広告契約をしている広告主との契約関係を阻害するものだと厳しく糾弾している。これに対してGatorは同社の商慣行が合法的であると証明するよう求める訴訟を連邦裁判所に起こした。Gatorのビジネスについては以前から、利用者からは他社の広告を置き換えるように見えることから違法性が強いのではないかと指摘されてきたが、一方で非常に興味深いビジネスであると取り上げられることもありなど意見が分かれている。
IABの社長兼CEOであるRobin Webster氏は「Gatorのソフトウェアの利用者は、それらサービスの見返りとしてWebサイトが販売した広告をGatorが販売した別の広告に置き換えることを許しているということに気づいていないかもしれない。さらに彼らはWebサイトの著作物と、そのサイトの品質あるいはコンテンツの要求基準を必ずしも満たしていないかもしれない広告とを抱き合わせている。われわれはこのサービスが正当なビジネス上の契約関係を違法に妨害するものだと信じている」とコメントした。IABでは、現在複数のオンライン広告の業界団体と協力して政府機関に対してこのような間違った商慣行をやめさせるよう動くように働きかけているという。
インストール時に表示される同意書 |
IABのこうした要求に対してGatorのCEO、Jeff McFadden氏は「IABに所属しているオンライン出版社の敵はGatorではなく、本当の敵は(コンテンツの内容と合致していない)不適切な広告なのである。何百万ものWeb利用者が現在99.8%のバナー広告を無視しており、出版社はめざましい勢いで滅びている。われわれはこの証明されたターゲットモデルがめざましくオンライン広告を再生できると信じており、したがってIABがポップアップバナー広告が違法であると主張することも、われわれの広告主が適切な広告を配信することを妨害するいかなる方法を取ることも、サービスの利用者が自分自身で自分のコンピューター画面上に何が表示され、またされないかを決断する権利を拒絶することも拒否する」と反論した。
さらにGatorの法務部長L.Scott Primak氏は「われわれは問題の核心が、すべての利用者が自分のコンピューターの中でどのソフトウェアを走らせるかを決める権利を持ち、自分のコンピューター画面の上に何を表示させるかを決める権利を持っているという事にあると考えている。利用者がGatorのフリーソフトウェアをダウンロードすると、このソフトが無料で配布されるものであり、利用者が訪問するWebサイトの内容に応じて適切な広告や情報をGatorが表示することを許可するという同意書を提示される。利用者はこれに対して同意ボタンを押さなければソフトをインストールすることができないのだ」と指摘し、同社のビジネスの合法性を訴えた。
(2001/8/29)
[Reported by taiga@scientist.com]