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■URL
http://www.ntt.co.jp/news/news01/0108/010830.html
小柳恵一NTT未来ねっと研究所ネットワークインテリジェンス研究部長 |
NTT未来ねっと研究所は30日、複数のISP間にまたがる経路障害を自動的に検知、原因の解明を行なうシステム「ENCORE」(an inter-AS diagnostic ENsemble system using COoperative REflector agents:アンコール)の開発を発表した。現在、国内3ヶ所、米国東海岸1ヶ所の計4ヶ所をつないで試験を行なっている。
インターネットは、ISPや大学、企業といった複数の自律システム(AS)によって構成されており、各ASはIPパケットを送出するための経路情報をお互いに交換している。送り出したIPパケットが目的のASに到着するためには、各ASのルーターに経路情報を参照して設定される経路表が正しくなければならない。ところが、ISPによって経路情報管理や制御ポリシーが異なっており、伝播される経路情報は常に変動するほか、ルーターへの経路表の設定も手作業で行なわれるため誤りが発生しやすい。現在のインターネット技術では、発信した経路情報が他のASでどのように扱われるかは不明で管理できず、小柳恵一NTT未来ねっと研究所ネットワークインテリジェンス研究部長によると「非常に危ういネットワーク」を構成している。
「ENCORE」システムは、各ASごとにエージェントを配置し、自律的に経路情報を観測、エージェント間で観測情報を比較することで、経路情報が意図したとおりに伝播していることを検証する。エージェントは、AS内にPCを1台追加する形で配置される。また、観測データから障害の兆候を分析し、兆候を発見した場合は、あらかじめ登録されている仮説と比較しながら診断ツールの実行や他エージェントと情報交換を行なう。小柳部長によると、「すべてのASの経路情報が得られなければ、エージェントの観測データが歯抜けになり、より正確な診断結果が得られない。すべてのASにエージェントが導入されることが望ましい」という。
これまで、AS間をまたがる経路障害が発生した場合、各ISPの保守管理者間で連絡を取りながら対応しなくてはならず非効率であった。また、2001年5月時点での世界のAS数が1万1,000、1ASにつき他のASへのベストなEnd-Endの経路数が10万5,000あり、膨大な経路情報を人間が定常観測・解析することは困難だった。
(2001/8/30)
[Reported by okada-d@impress.co.jp]