【技術】

米ベンチャーが「同軸ケーブルで10Gbpsを実現」と発表
~実現までには注視が必要

■URL
http://www.rainmakertechnologies.com/press_hot10.html

 シリコンバレーのベンチャー企業Rainmaker Technologiesが28日、一般家庭に既に敷設されている同軸ケーブルを使って10Gbpsのデータ転送レートを実現する技術を開発したと発表した。このデータ転送レートの到達距離は「few thousand yards」(約1.2キロ)であり、本当に実現すればブロードバンドのラストワンマイルの有力な候補となる。同社ではこの技術をケーブル接続だけでなく、電力線、電話線通信、無線LANにも応用しており、いずれも100Mbps台の数字を発表している。

 Rainmakerでは「ウェーブレット変調」という新しい変調技術を使うことでこれを実現したとしており、ホームページにはこの技術に関して取得した特許へのリンク、同社の技術者の書いた論文などが掲示されている。

 同社によれば、ケーブル会社の施設内と利用家庭の両端に同社の開発したモデムを装着するだけでこのデータ転送レートが実現できるため、新たに必要となる投資額は少なく、コストパフォーマンスに優れると主張する。

 この発表は先日行なわれたものだが、メディアはプレスリリースへのリンクを張った媒体が幾つかあった他は特に論評はしていない。それには同軸ケーブルで数百Mbpsを実現することは理論的に可能であることが何度も指摘されてきたため、特に新味がないと判断されたためだろう。

 また、同社は到達距離が約1.2キロあると説明しているが、さまざまな雑音が紛れ込む現実の環境で実際にこれが実現できるかは今後の公開実験の結果如何にかかっている。さらに最も重要なこととして例え10Gbpsのブロードバンドを家まで引くことができたとしても、現在のPCではそれだけのパケットを処理しきれないのではないかという疑問も生じる。PCの通信能力の向上がどれだけ可能かという技術の検討もいずれ必要になる時代が来るだろう。

(2001/8/30)

[Reported by taiga@scientist.com]


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