 |
|
|
|
■URL
http://www.acca.ne.jp/information/release/010831/index.html
アッカ・ネットワークスは31日、フルレートADSL規格の日本向け仕様である「G.992.1（G.dmt）AnnexC」による回線速度試験の結果を公開した。回線距離が4kmまでなら、どの距離においても、上り／下りともに、現在国内で普及しているハーフレート規格の「G.992.2（G.lite）AnnexC」を上回ることが明らかになった。
G.dmt AnnexCの宅内モデムと収容局内モデム（DSLAM）間における下りリンク速度を見ると、1.6kmまで8Mbpsを維持、2km付近から急激に速度が低下しているのがわかる。とはいっても2.4km地点で約5Mbps、3km地点で約3Mbpsであり、3km付近まで約1.5Mbpsを維持するG.liteよりもはるかに高速だ。その後、4km地点でG.dmt AnnexCは1Mbps弱にまで落ち込むが、それでもG.lite AnnexCをわずかに上回っている。
上りでも1.6kmまでスペック上の最大値である1Mbpsを維持。その後徐々に低下するが、上りは距離による影響を受けにくいとしており、グラフの下降曲線は下りの時ほど急激ではない。4km地点でも700kbps以上の結果が出ている。一方、G.lite AnnexCでは、3km付近まで512kbpsを維持し、4kmで地点で400kbps弱まで落ち込んでいる。
さらに、下りのリンク速度が8Mbps出る環境においてFTPのダウンロード速度を測定したところ、Windows 2000パソコンにおいて6.3Mbpsのスループットが確認された。Windows 98では当初2.3Mbpsしか出なかったが、MTUやRWINの設定を最適化したことで6.4Mbpsに改善された。
今回の評価試験は、電話の加入者回線をシミュレートするアッカの社内設備を用いて行なわれた。ISDNからの影響についてもシミュレートされているという。さらに、9月中旬のサービス開始前に市内回線による試験も行なう予定だ。
試験結果を見る限りでは、G.lite AnnexCに対するG.dmt AnnexCのデメリットは見あたらず、アッカでも「技術的な面でデメリットはない」と見ている。また、G.dmt AnnexCの機器を導入してしまえば、局側の設定しだいで帯域の変更が可能なため、8Mbpsと1.5Mbpsのメニューを両方提供できることになる。今後はあえてG.lite AnnexCの機器を設置する理由はないように見える。
しかし、だからといってすべてがG.dmt AnnexCに置き換えられるかというと、すぐにそうなるわけではないようだ。まず、G.dmt AnnexCの製品がまだ開発されたばかりのため、供給するメーカーもNECと富士通という2社に限られているという。アッカからの回答は得られなかったが、G.lite AnnexCに比べれば、機器のコストはまだ割高であることが想像できる。
アッカでは9月までに全国530の収容局でサービスを開始する予定だが、これに含まれる局についてはまずG.lite AnnexCを導入するとしており、その後、必要に応じてG.dmt AnnexCを追加設置していく考えだ。今のところ、東京、神奈川、埼玉、千葉、大阪の一部で9月中旬から10月中旬にかけてのサービス開始がアナウンスされている。
機器のコストについてはユーザーにとっても同じであり、そのため必ずしもG.dmt AnnexCが有利というわけではない。G.lite AnnexCモデムはすでに店頭売りも始まっており、今後価格がこなれていくことが予想される。ユーザーが製品を選択できるというメリットもある。今後しばらくは、G.lite AnnexCとG.dmt AnnexCが並行して提供される状況が続きそうだ。
アッカの提供するG.dmt AnnexCによる8Mbps回線は、So-netがすでに対応メニューを発表しいるほか、詳細はまだアナウンスされていないものの、OCN、BIGLOBE、@niftyも対応を表明している。アッカによると、このほかのISPからの引き合いもあるとしている。
◎関連記事
■アッカ、G.dmt Annex Cによる最大8MbpsのADSL回線提供へ
■So-net、8月15日より月額2,980円でADSLサービスを提供開始。最大8Mbpsのメニューも月額3,280円で9月から投入
■東京めたりっく通信、最大3Mbpsの新メニュー投入へ
(2001/8/31)
[Reported by nagasawa@impress.co.jp]