【調査】

米多発テロ事件でニュース/政府サイトにアクセス集中~欧州にも飛び火
バックボーンには影響ほとんどなし

■URL
http://www.keynote.com/press/html/091101-091201.html

事件発生後のWebアクセスパフォーマンスを示すグラフ
 11日に発生した米国の多発テロ事件で、米国のニュースサイトや政府関連サイトへのアクセスが急増し、一部サイトは衝突事故直後にアクセス不能な状態になったことが米Keynote社の調査で明らかになった。ただバックボーンそのものには、ビル倒壊にも関わらず、大きな影響は出ていないという。

 Keynote社はニュースサイトや検索サイトを含む主要な商用系40サイトのパフォーマンス測定を行なっており、その結果を「Keynote Business 40 Internet Performance Index」(以下KB40 Index)という指数で発表している。この「KB40 Index」によると、衝突事故直後の11日9時(※米国時間、以下同)からWebページの表示速度が低下しはじめ、ピーク時の10時15分には平均表示速度が12.9秒に達した。この平均表示速度は平日の同時間帯で通常2.5~3.5秒、アクセスが増える月曜日(9月10日調べ)でも5.0秒程度という。いわば事件の影響で、WWW全体の表示速度が通常の四分の一程度まで低下した形だ。

 特にニュースサイトでこの傾向は顕著で、11日9時から10時の間、「CNN.com」「NYTimes.com」「ABCNews.com」の3サイトは、表示可能を計測する数値が0%、つまり全く表示できない状態となった。ほかにも「USAToday.com」で18.2%、また「MSNBC.com」で22.0%と、サイトへのアクセスのうち約8割が無効となっている。10時以降はサイト側で画像を除いてトップページのサイズを縮小するといった負荷を減らす努力が行なわれた。例えば「CNN.com」では、衝突事故以前は225KB以上あったトップページのサイズを、約20KBにまで縮小している。この努力により、午後にはどのサイトも通常の表示速度を取り戻した。「KB40 Index」自体も、午後半ばにほぼ平常の値となった。

 また事件と関連する各政府機関のサイトにもアクセスが集中し、「FBI.gov」(連邦捜査局)、「CIA.gov」(中央情報局)、「FAA.gov」(連邦航空局)、「FEMA.gov」(連邦緊急事態管理局)などのサイトで、表示速度が通常の3倍以上となった。特に「FBI.gov」では事件直後、通常1秒以下で表示できるページが最大176.91秒にまで跳ね上がり、11日の23時30分時点でも50秒以上かかっていた。しかし、どの機関のサイトもアクセス不能な状態には陥らず、12日にはほぼ平常の表示速度に戻っている。

 ニュースサイトのアクセス集中は欧州にも及び、ドイツでは事件の第一報後、サイトの表示率が「ZDF」で4.26%、「Focus」で14.89%、「FAZ」で19.15%と、いずれも著しく低下した。ドイツのWebサイト全体の表示速度も通常の2倍程度まで低下したという。フランスでは第一報のあった9時30分以降に、フランス版「KB40 Index」の表示速度が通常5秒程度から15~20秒かかる状態が2時間ほど続き、特に「France2」「Liberation」「TF1」「Wanadoo」といったニュースサイトでは、事件後1時間ほどほとんどアクセスできなくなった。またイギリスでは「BBC」「Financial Times」が特にアクセスしにくい状況にあったという。

 Keynote社によれば、これほどのアクセス集中や表示速度の低下が計測されたのは、DOS攻撃以外では前例がないという。なお、同社はバックボーンのパフォーマンスを計測する「Internet Health Report」も行なっているが、世界貿易センターに光ファイバー回線が多数導入されていたにも関わらず、バックボーンには特段の影響は出ていないという結果が出ている。

(2001/9/13)

[Reported by aoki-m@impress.co.jp]


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