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■URL
http://www.cyber-music.co.jp/
韓国でパッケージ化されているタイトル。オスタンキノのアーカイブには、作曲家Dmitri chostakovichによる自曲の演奏、Luciano Pavalottiのオペラなど貴重な音源が多数含まれているという。現地に開設されたマスタリングスタジオでは、KGBの雑音除去技術なども投入され、Michael Jacksonの「スリラー」を手がけたエンジニアらによる復元/デジタル化作業が進められている |
リキッドオーディオ・ジャパンから社名変更したサイバー・ミュージックエンタテインメント(CME)は15日、旧ソ連の国営放送局「オスタンキノ」に保管されていた未公開クラシック音源を日本国内向けに提供する事業を11月より開始すると発表した。インターネット配信のほか、CDなどのパッケージ事業にも参入する。
旧リキッドオーディオと言えば、音楽のネット配信事業を手がける企業としては国内で草分け的存在だが、「日本のどの会社よりも高い“授業料”を払って、(音楽のネット配信ビジネスについて)勉強してきた」にもかかわらず、「勉強してきたことだけではビジネスは成り立たなかった」(西牟田博文代表取締役社長)のが実状である。今回の事業では、「クラシックの持つ癒しの部分やメンタルな効果」をアピールしながら、「新たなクラシック市場をプロデュースする」ことで事業を再構築していく考えだ。
ただし、現時点におけるネット配信の売上規模は大手レコード会社でもわずかだとしており、CMEでもノンパッケージ流通の収入比率は20%程度。当分はパッケージ販売が売上の主流になると見ている。このため、CMEでは既存のCDショップだけでなく、癒しの音楽として介護老人ホームやメンタルクリニックへ提供するなど、ピンスポットをターゲットにした新たなチャネルの開拓に重点を置くとしている。
その一方で、CMEがこれまで手がけてきたネット配信という手法は、今回のクラシック音楽の配信事業でも効果を発揮する。オスタンキノ所蔵の音源は旧ソ連を代表する著名な指揮者や演奏家によるもので、約40万タイトルにも及ぶという。計画では、CDの年間リリース数は300タイトルにも及ぶが、ネット配信はそれをも上回る年間4,000タイトルだ。「いくらいい音源を持っているとしても、後発ではショップ販売だけで成功するとは考えていない。ボリュームで勝負する」(西牟田社長)というCMEにとって、これだけのボリュームを扱えるはネット配信がアドバンテージになるという自信もあるようだ。ネット上でのダウンロード数を踏まえながら、CD化するタイトルを決定することも考えているという。
なお、オスタンキノ所蔵の未公開音源については、米Pipeline Music社がワールドワイドの版権を保有。そのうち、アジア太平洋地域での販売について韓国イエダン・エンタテインメント社が独占契約を結んでいる。CMEでは、すでに8月に発表されているように、イエダンとの業務提携により国内での独占的な提供権を獲得している。さらに2社は、イエダンが展開を検討しているアジア太平洋地域におけるネット配信事業においても、CMEが技術提供することでも合意している
CMEによる国内向けのネット配信サービスは11月中にもスタートする予定だが、具体的な日程は未定だ。現在、急ピッチでエンコード作業が進められているという。有料の会員制サービスとなっており、すべての曲をストリーム再生可能な「A会員」が月額1,000円、ストリーム再生のほかダウンロードも可能な「B会員」が月額3,000円、ストリーム再生とダウンロードに加えてCDパッケージが毎月5タイトルまで配布される「C会員」が月額1万円となっている。ストリーム配信用にはWindouws Media PlayerおよびReal Player向けのエンコードデータを用意。一方、ダウンロード配信用にはWindows Media Technologiesを採用し、同技術のデジタル著作権管理機能により楽曲/会員管理を行なう。CMEでは、5年間で5万人の会員獲得を目指すとしている。
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(2001/10/15)
[Reported by nagasawa@impress.co.jp]