【レポート】

大阪「フレッツ・スポットアクセス」体験レポート

■URL
http://www.ntt-west.co.jp/spot/

 NTT西日本が10月22日より、大阪・梅田、心斎橋、日本橋エリアでフレッツユーザーを対象にしたホットスポット型のインターネット接続実験「フレッツ・スポットアクセス」を実施している。今回は、実際に大阪へ行き、どんな環境で実験を行なっているのかを見てきたので紹介したい。

●「フレッツ・スポットアクセス」とは


 「フレッツ・スポットアクセス」では、2.4GHz帯無線LAN技術を利用し、主にセキュリティ認証や、電波の干渉などの調査実験を行なっている。通常、この種の実証実験では、IEEE802.11b規格の無線LANが使われるが、「フレッツ・スポットアクセス」では、それに加えて規格策定中のIEEE802.1xを使った実験も行なうのが特徴だ。IEEE802.1xは、ネットワーク上の認証サーバーを使って、ユーザーIDとパスワードを使った認証ができるので、IEEE802.11bよりも厳密なセキュリティ管理が可能だ。

 実験では、ホテルや駅、飲食店に設置されたアクセスポイントを光ファイバーでNTT西日本の持つ地域IP網に接続する。ユーザーからのファースト1マイルが無線LANになっているだけで、基本的な構造はフレッツISDNやADSLと同様。そのためモニターは、大阪に在住か勤務している人で、なおかつ@niftyやBIGLOBEなど13のISPでフレッツをすでに利用していることが必要になる。

 実験は10月22日より、2002年1月31日まで全13スポットで実施される(11月1日現在、9箇所が開設済み)。

●各ホットスポットを紹介


 取材を行なった10月31日時点では、まだビジネスコンビニ「kinko's」や「ロッテリア」のスポットが開設していなかった。今回は、その時訪問可能だった5ヶ所のうち、「NTT西日本サイバーサテライトワールド日本橋」を除いた4ヶ所を紹介する。

■阪急ターミナルビル「ロビー」

 阪急電鉄梅田駅の「中央のりば」へ上がるエスカレーター下にある、阪急ターミナルビル入り口にひっそりと設置されている。実験がノートPCからの利用を想定しているので、PCを置く台が備え付けられているが、電源の供給はない。ガラスのドアの中なので、駅構内のように人通りが激しいこともなく、静かな環境だ。また、電波の届く範囲に喫茶店があるので、そこでコーヒーを飲みながら接続することもできそうだ。

■阪急三番街南館B2 「ロブスターモニュメント前」

 同じく、阪急電鉄梅田駅の下に広がる阪急三番街の地下2階のロブスターモニュメント前にアクセスポイントが準備されている。この脇田愛二郎氏制作の真っ赤な鉄製オブジェにノートPCを置いてアクセスすることもできるが、ケーキ・喫茶の「ハーブス」から接続することもできそうだ。

■ホテル阪急インターナショナル「Night & Day」

 梅田コマ劇場などが入った総合ビル「ちゃやまちアプローズ」にある「ホテル阪急インターナショナル」1階のカフェレストラン「Night & Day」も実験エリアの一つだ。営業時間は午前7時から午後11時まで。

■NTT西日本「サイバーサテライトワールド梅田」

 JR大阪駅南側に広がる地下街「大阪駅前ダイヤモンド地下街(ディアモール大阪)」の円形広場の一角にNTT西日本のショウルーム「サイバーサテライトワールド梅田」がある。ここでは、モニターでなくても「フレッツ・スポットアクセス」を体験できるノートPCが2台設置されている。

阪急ターミナルビル
「ロビー」
阪急三番街南館
ロブスターモニュメント前
阪急インターナショナル
「Night & Day」
サイバーサテライトワールド梅田
kinko's 東梅田店

 これ以外にも、11月1日より、「kinko's 東梅田店」「同 堂島店」「同 心斎橋店」と、「ロッテリア 心斎橋店」が開設した。また、11月中には「新阪急ホテル」「ロッテリア ディアモール大阪店」「同 戎橋店」「同 クリスタ長堀店」が実験に参加する予定だ。

●「フレッツ・スポットアクセス」は今までの実証実験と違う


 実際に、各実験スポットを歩いてみて、「フレッツ・スポットアクセス」は、東京で行なわれている他の街角インターネット実験と性格が違うと感じた。ノートPCを使って、外出先からインターネットにアクセスする点では同じだが、「フレッツ・スポットアクセス」は、あくまでも自宅の常時接続環境を街角でも同じように使えるようにする実験なのだ。

 モスバーガーで行なっている「Hi-FIBE」や、東京・お台場の「www. so-net/cafe」などで行なっている「B.L.T.」では、ホットスポットに行けば、地域情報を得たり、専用ブロードバンドコンテンツを楽しむことができた。つまり、そこに端末が設置されていれば、自分のPCでなくても構わない。

 ところが、「フレッツ・スポットアクセス」は、自分の普段使っているノートPCが必須だ。あくまでもインターネットへの入り口を増やす実験であり、使い方としてはメールの送受信や通常のWebブラウズなどが中心となる。プライベートな使い方が増える分、ユーザー認証などのセキュリティ面が重視されるのだ。

 この違いは、「サイバーサテライトワールド梅田」で顕著に感じられた。そこには、「フレッツ・スポットアクセス」用のモニター端末のほかに、Bフレッツなどの高速インターネットのモニター端末も設置されている。街角で動画を見るとしたら、伝送スピードが速いBフレッツの端末を使ったほうが快適だ。

 こうしてみると、「フレッツ・スポットアクセス」は、「スポットアクセス」と名乗っているものの、ホットスポット的な利用ではなく、インターネットへの入り口の多様性を目指す実験だ。しかし、来るべきユビキタスネットワークへの道筋を開くためには、ネットワークサーバーによる認証など重要な実験だといえよう。

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(2001/11/1)

[Reported by okada-d@impress.co.jp]


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