INTERNET Watch Title
Click

【新技術】

NTT、バス運賃が払える電子マネーシステムを開発
公開鍵暗号による安全性と支払い処理の高速性を両立

■URL
http://www.ntt.co.jp/news/news01/0111/011129.html

 NTTの情報流通プラットフォーム研究所は29日、非接触型ICカードを利用した高速電子マネーシステムを完成させたと発表した。公開鍵暗号でセキュリティを高める一方で、バス料金の支払いや駅の改札でも実用に耐えうる高速処理を実現したのが特徴。

 署名の処理時間が最短1ミリ秒、支払い処理時間が250ミリ秒以下となっており、公開鍵暗号による電子マネーシステムでは現時点で世界最高速だという。バスの運賃精算に採用すれば、乗車や降車の際に読みとり機の上にカードをかざすだけで、一瞬で運賃相当の電子マネーが“運賃箱”に支払われる。

 カード内に電子マネーをチャージするための端末として、既存のICカード公衆電話を利用できるのも特徴だ。全国に4万台以上設置されているICカード公衆電話は、一部のソフトウェアを入れ替えるだけで対応できる。ユーザーは、ICカードを電話機にセットして電子マネーセンターに電話をかけ、自分の預金口座からカード内に電子マネーをチャージする。パソコン用のカードリーダー/ライターを使って、インターネット経由でのチャージにも対応できるとしている。

 同システムの具体的な事業計画は未定。年明けにもバス料金の支払いで同システムを使ったフィールド実験を開始する予定だ。まずは交通機関が主な適用領域となるわけだが、同社では、これにより電子マネーの適用できる市場が一気に拡大すると見ている。

 公開鍵暗号とICカードを使ったこれまでの決済システムは、どうしても処理時間が長くなってしまい、接触型が主流で、金融機関のATMやクレジットカード端末など利用できるシチュエーションが限定されていたという。一方、すでに交通機関などで実用化済みの非接触型カードでは、速度を重視した共通鍵暗号が主流だった。

 これに対して今回NTTが実用化したシステムでは、より安全だという公開鍵暗号と支払い処理の高速性を両立させたものと言える。交通機関だけでなく、駐車場の支払いやコンビニエンスストアなどでの採用も期待できるとしている。

(2001/11/29)

[Reported by nagasawa@impress.co.jp]


INTERNET Watchホームページ

ウォッチ編集部INTERNET Watch担当internet-watch-info@impress.co.jp