【レポート】

出会い系サイトの犯罪で日本は“先進国”~横浜でワークショップが開催

■URL
http://www.iajapan.org/hotline/20011217unicef.html

左からECPATの共同代表・宮本潤子氏、ChildnetのWilliams氏
 財団法人インターネット協会は、横浜で開催中の国際会議「第2回子どもの商業的性的搾取に反対する世界会議」内で「インターネット相談・通報窓口ポータルページの開設」に関するワークショップを開催した。出会い系サイトなどを利用した児童性犯罪では先進国ともいえる日本の現状への注目が集まった。

 ワークショップではインターネット協会副理事長の国分明男氏、警察庁生活安全局少年課少年保護対策室長の木岡保雅氏、「ECPAT/ストップ子供買春の会」の宇佐美昌伸氏、「Childnet International」代表のNigel Williams氏らが登場、それぞれ所属する立場から見たインターネットでの子供の保護のための活動について紹介した。

 注目されたのは出会い系サイトを利用した児童買春で、警察庁・木岡氏の説明によれば、児童買春検挙状況のデータで、2000年は検挙件数が985件、うちテレクラを利用したものが476件、出会い系サイトを利用したものが40件だったが、2001年は前半(1~6月期)だけで検挙件数が654件、うちテレクラが243件、出会い系サイトが133件と、出会い系サイトを利用したものが急増しているという。これには「テレクラは料金がかかるが、出会い系サイトの1/3は無料で利用できるため、子供でも利用しやすい。友人から紹介されて利用するケースが最も多く、次いで携帯電話の検索サイトや雑誌などがきっかけとなる」(木岡氏)との背景があるためという。

 また中高生を対象とした携帯電話に関する調査の概要も紹介。携帯から出会い系サイトに1度でもアクセスしたことのある者は全体の3割以上で、このうち出会い系サイトで知り合った人と実際に会ったことがあるのが約3割、高校生女子では4割以上に上るという。こうした携帯電話向けの出会い系サイトは、「携帯電話からしか検索できないものも多く、PCからのアクセスでは実態が把握しにくい」(木岡氏)との傾向があるのも特徴としている。一方、児童ポルノ検挙数では、2000年は検挙件数が170件、うちインターネット上で流通していたものは114件、2001年前半は75件、うちインターネット上のものは55件という。

 「ECPAT/ストップ子供買春の会」の宇佐美昌伸氏は、同協会が編纂した「インターネット上の子供の安全ガイド」を紹介した。これはインターネットが普及している現状やネット上のサービスの仕組みの解説に始まり、インターネット上のサービスに潜む危険から子供を守るには、子供と親、そして教師はどうすればよいかということをわかりやすくまとめたパンフレットだ。ネット上の危険なサービスやコンテンツから子供を守るには、「フィルタリングなどの仕組みを導入する必要もあるが、親自身がコンピュータの使い方を学び、子供がネットで何をしているかを知ってアドバイスして、子供を“ネットスマート”に導いていくことが大切」(宇佐美氏)として、親・教師とも、子供と話し合いながら注意を促す必要性を語った。

 この“親世代についての教育”はワークショップ内でも何度か言及され、「40%以上の親が、子供にまったく自由にコンピュータを使わせ、何ををやっているかを知らない」(木岡氏)とのデータもあるという。こうした親世代のために、「ISPやポータルサイトなどが子供のオンラインでの安全性を訴えるコンテンツやリンクを設けて親や教師に注意を促すほか、PCにこうしたコンテンツをプリインストールして販売することも必要だろう」(宇佐美氏)としている。現在英語版が発行されている「インターネット上の子供の安全ガイド」は、各国で翻訳して発行するプロジェクトが進行中だという。

 また1995年から活動する団体「Childnet International」のWilliams氏は、「携帯電話による出会い系サイトでの児童買春などの事件は、まだ他の国では起こっておらず、日本の事例などから学ぶ点は多い。また日本の警察機関が早い時期からこうした問題に高い意識を抱いている点はすばらしい」とし、今後携帯電話のもたらす機会と危険をまとめた国際会議なども開催したいとの意向を語った。

(2001/12/17)

[Reported by aoki-m@impress.co.jp]


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