【規格】

IrDA、赤外線決済の「IrFM」仕様案を公開レビュー

■URL
http://www.irda.org/news/fmupdate.asp

 赤外線による通信規格策定を目的とする業界団体「IrDA」は5日、「IrFM(Infrared Financial Messaging)Point & Pay Profile」の最初の仕様案を公開レビューとしてWebサイトで公開した。IrFMは、赤外線を使った決済を可能にするための標準規格で、既存のクレジットカードやデビットカードなどと互換性を保って運用できるように考えられている。例えば、携帯電話やPDAを店頭のPOS端末に向けるだけで代金を支払ったり、バスや電車、タクシーの代金を支払うための手段として有望視されている。

 IrFMの仕様案では、詳細な利用方法の案や、ターミナルとモバイルクライアントの実装案、決済情報を送受信したりトランザクションの記録を保存するためのアーキテクチャーなどが議論されている。ここでは。店や金融機関が既存の支払いシステムインフラを変えることなくIrFMを利用できるように保障しており、できるだけ導入の障害を少なくしたい考えだ。

 この仕様案策定にはIrDAの会員が参加しているが、その中にはNTTやNTTドコモ、東芝などの日本企業も含まれている。IrFMのフィールドトライアルは世界中ですでに始まっており、韓国ではHarex InfoTech社が今春に世界で初めての商用試験を始めるほか、南カリフォルニア大学内の支払いシステムとして米国内でもトライアルを行なう。また、クレジットカード会社大手Visa InternationalもIrFMをサポートすることを表明している。

 携帯電話やPDAを財布やクレジットカード代わりに使うというアイディアに関しては、国内ではBluetoothを使った方法に注目が集まっている。しかし、赤外線を使った電子商取引にも大きなメリットがある。Bluetoothでは電波が拡散するが、赤外線は指向性が狭く、薄い壁でも遮られてしまうため逆にセキュリティーを確保しやすい。また、消費電力がBluetoothに比べて大幅に低いことや、モジュールのコストが安いこともあげられる。

 IrDAでは、現在世界中の2億5000万台の携帯電話やPDAにすでに実装され、7年間に渡って相互接続性が実証されていることも大きなメリットだと指摘している。

(2002/2/6)

[Reported by taiga@scientist.com]


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