【団体】

ICANNが大胆な組織改革案を提言
完全民間組織から半官半民への脱却を目指す

■URL
http://www.icann.org/announcements/announcement-24feb02.htm
http://www.icann.org/general/lynn-reform-proposal-24feb02.htm

 ドメイン名管理の非営利団体「ICANN(Internet Corporation for Assigned Names and Numbers)」の代表Stuart Lynn氏は24日、ICANNに関する大幅な組織改革案を役員会で承認を受けたうえでパブリックレビューとして公開したことを発表した。ICANNは、これまで完全な民間組織としてインターネットのルートサーバーやドメイン名などを管理してきたが、この改革案では各国政府からの理事を受け入れ、「半官半民組織」として再生することを目指している。

 インターネットの技術開発は、ほとんどが米国政府の資金によって行なわれていたこともあり、米国政府がルートサーバーなどを管理していたが、1998年に米国政府からの依存脱却を掲げて、インターネットの管理を行なうための完全民間組織としてICANNが発足した経緯がある。それ以来、インターネット利用者の代表ともいえる役員を選出したうえで、ルートサーバーの管理、ドメイン名の管理方法、競争原理の導入などを積極的に進めてきた。こうした試みは、役員会議長Vint Cerf氏が「現在のICANNの組織は3年前に作られたときには実験とみなされていた」と述べているとおり、世界を股にかけるインターネットを政府から独立した民間組織が運営する壮大な実験と呼ばれたものだ。

 今回発表された改革案について、ICANNの代表Stuart Lynn氏はまず「私や他の人にとって明らかになってきたのは完全民間組織は機能しないということだ」と述べた。同氏はICANNの政策決定プロセスが多すぎて何かを行なうのに時間がかかりすぎてしまい、重要な決定ができなかったこと、また、資金の不足などの問題点を指摘している。

 さらに「インターネットは国家の経済また社会的な発展にとってあまりにも重要なものとなっている。国民の代表としての政府は、より直接的にICANNの議論や政策決定過程に関与しなくてはならない。われわれは正しい形のグローバルなパブリックとプライベートなパートナーシップ、プライベートな組織の機敏さと強さ、それに政府の権威を通して民意を代表する方法を見つけなければならない」とこの改革案の目的を説明した。

 改革案では、ICANNの意思決定機関である役員会の人数を減らして理事会とし、15人の理事がICANNの意思決定機関に関与することになる。そのうち5人はICANNが管轄する地球上の五つの地域を代表する各国政府によって推薦される理事、5人はインターネットの利用に直接的に関与する人々の利益を代表する理事、そして、残る5人が既存の役員会のメンバーから移行すると思われる職権上の理事となる。

 今回の改革案は、民間組織としてのICANNのこれまでのやり方を実質的に否定するものだけに、インターネット運営への直接的な関与を主張するインターネット利用者などからの強い反対を受けるものと予測される。ICANNの次の会合は3月10日から14日にかけてガーナで行なわれる予定だ。

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(2002/2/26)

[Reported by taiga@scientist.com]


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