■URL
http://toolbar.Google.com/dc/faq_dc.html
http://folding.stanford.edu/ (Folding@Home)
http://folding.stanford.edu/cgi-bin/teampage?q=446 (チームランキング)
米Googleが「Google Toolbar」に分散コンピューティング機能を追加しようとしていることが明らかになった。現在、この新しい機能「Google Compute」に関するFAQがGoogleのサイトに掲載されている。しかし、まだトップページからこのページへのリンクが張られておらず、正式公開には至っていない。Google ToolbarはWWWブラウザー「Internet Explorer(IE)」用のアドインソフトで、Googleの機能をブラウザーから利用しやすくする。日本語版も公開されており、多くのユーザーに利用されているソフトだ。
Google Computeは、Google Toolbarに装備された分散コンピューティング機能で、スタンフォード大学が主宰している非営利研究プロジェクト「Folding@Home」に参加することができるというものだ。Folding@Homeでは、多くの病気の原因となっているタンパク質の構造解析のために膨大な計算を行なっている。この計算を世界中に分散しているコンピューターに一つ一つ計算してもらい、最後にそれらを統合することによってタンパク質の構造計算を行なおうというのがFolding@Homeの試みだ。
Google Computeは、このプロジェクトに参加し、Google Toolbarがインストールされているコンピューターの空き時間を利用してタンパク質の構造解析の計算に参加できるようにしようとするものだ。この新しいGoogle ToolbarにはDNAの二重らせん構造の形をしたアイコンがあり、このアイコンの状態によって現在自分のコンピューターが計算を行なっているのかどうかを判別できる。参加者はすべてFolding@Homeの「Team Google」に参加する形をとっており、ツールバーの利用者が増えるにつれてTeam Googleの貢献度が上がることになる。もちろん計算に参加したくない人はプライバシーの設定をすることでGoogle Compute機能を利用しないこともできる。
Team Google紹介ページ |
Folding@Homeのサイトでは、プロジェクトに参加しているチームの成績を公開しているが、2月28日現在、74位に「Google」チームがランクインしている。Googleチームの情報ページには、チームのホームページとして「Google Compute]( http://compute.google.com/ )のURLが紹介されているが、自動的に「Google Toolber」( http://toolbar.google.com/ )のページに接続するようになっている。このことからもGoogle Computeの正式公開も近いものと思われる。
Googleでは今のところ分散コンピューティング機能をFolding@Homeプロジェクトに限定しているが、FAQによれば将来的に他のプロジェクトに参加したり、Googleそのものの機能向上のためにコンピューティングパワーを使う可能性も指摘している。
こうした分散コンピューティングの試みは、これまでにも「SETI@Home」の地球外生命体の発見を目指すプロジェクトが知られている。また、いくつかのベンチャー企業が営利的に分散コンピューティングによって大規模な計算を企業から請け負うビジネスを展開したこともあったが、いずれもスクリーンセーバーなどの独自のソフトウェアをインストールする必要があり、そのことが普及を阻む原因となっていた。今回Google Toolbarという一般利用者の多いアドインが分散コンピューティング機能を持つことにより、自分のコンピューターのアイドル時間を提供したいと思っていても独自のソフトウェアをインストールするまでには至らなかった人々の意欲を刺激することになるだろう。
Google Computeが追加されるのはGoogle Toolbarの英語版「_en_1.1.53-deleon.dll」のようだが、筆者が試したところまだダウンロードすることはできなかった。しかしこのツールバーについて動作報告をしているページがあり、GoogleがFAQを用意していることから、しばらくすればこのツールバーがダウンロードできるようになるだろう。
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(2002/2/28)
[Reported by taiga@scientist.com / okiyama@impress.co.jp]