【レポート】

「オンライントラベルは非常にインターネット向き」
~TravelocityのCEOが来日

■URL
http://www.tabini.com/
http://www.travelocity.com/

Travelocity社CEO
Terrell Jones氏

(左)株式会社タビニ
椎名 俊造社長

(右)Travelocity社CEO
Terrell Jones氏

 米Travelocity社のCEO Terrell Jones氏が26日来日し、同日オンライン旅行サービス「tabini」を開始した株式会社タビニの椎名俊造社長と共に、今後の事業展開を語った。

 Travelocity社は、米国第6位の旅行会社。ブッキングによる売上高は4,000億円以上となり、会員数は3,200万人だという。同社は、米国を中心としてオンラインで航空券などを販売しているが、海外戦略として、ヨーロッパを対象とした「Travelocity.eu」なども展開している。この戦略の一環として、同社は2001年6月に日本航空、Northwest航空など主要航空会社17社と共同で、タビニを設立した。また、今後2ヶ月以内にアジアを対象とした「Zuji.com」を設立するという。

 Terrell Jones氏によると、「2002年の米国における旅行市場は、全体で33.3兆円となっており、そのうち4兆1,000億円(12%)がオンラインによるものだ」という。また、「オンライン市場は確実に伸びており、レジャー・ビジネス(個人)において、2002年度の売上は220億ドル(9%)だが、2006年には320億ドル(17%)になる」と語った。この、オンライントラベル市場が伸びる理由を、同氏は「航空券販売などにおいては、比較的デジタル化しやすいデータを扱う場合が多い。目的地などに、嗜好性が含まれる場合は、確実にデータベース化し、ユーザーのニーズに応えることが可能だ。このように、旅行分野は非常にインターネットに向いている」としている。

 また、同社は700以上の航空会社、5万以上のホテル、50以上のレンタカー会社、主要8社のクルーズ会社を取り扱っている。これらの会社とのネゴシエーションを保つことにより、仕入れ料金の低下などが実現できるという。また、3,200万人の会員データを徹底的に管理することにより、ユーザーの嗜好性や、広告収入、メールキャンペーンに活かすことが可能となっている。実際に同社は、2001年には4億6,000万通のメールを配信し、6,000万ドルの広告収入を得ているという。

 一方、日本のタビニについて、椎名社長は「これらTravelocity社のノウハウやシステムを利用しつつ、独自のデザインやカード決済システムを取り入れることで、日本独特の風潮にあわせて再構築している」と語った。これに対してTerrell Jones氏は「日本の市場は、アジアの50%を占めるだろう。また、ブロードバンドの普及などにより、確実にネット人口や市場の拡大する」と予測しており、「タビニを、日本におけるオンライントラベルのトップブランドにしたい。そのために、出資会社であるTravelocity社や航空会社各社は、全面的にタビニをバックアップしていく」としている。

 最後に椎名社長は「Travelocity社は、各事業者などとのネゴシエーションなどにより、仕入れ料金の低下などの事業努力を行なっているが、日本では流通の違いなどにより、その点でなかなか難しい面もある。しかし、タビニはオンラインによるトラベル販売に特化することによって、デジタルならではの効率化を図れるはずだ。これによって、コスト競争力を付けることが重要となってくるだろう」と語った。

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(2002/3/26)

[Reported by otsu-j@impress.co.jp]


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