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東京国際ブックフェアの入場受付(上)と、デジタルパブリッシングフェアの会場(下)
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常に多くの来場者を集めていたのは、まず電子書籍に関する展示で、特にPDA関連のものが目立った。電子出版の老舗・ボイジャーと新潮社などが共同で展開していたブースはPDA用の電子書籍リーダー「T-Time for PDA」や、電子書籍をPocketPC上で音声で読み上げる「電子合成ソフトfor PocketPC」(仮名、ブラザー工業による参考出品)などを展示、注目を集めていた。またシャープが開発したモバイルドキュメントフォーマット「XMDF」のブースでは、ルビふりや外字表示対応といったXMDFの特徴を生かした展示を展開。このフォーマットはZaurus、PocketPC、PalmなどのOSに対応しており、現在NTTドコモが5月から開始する「電子書籍配信サービス実験」のためのモニターを募集中という。またコニカビジネスマシンは、PDA向け電子書籍配信やブックオンデマンドなどを行なう複合型サービスを行なう「ebook-salon.com」を出展していた。
電子書籍にディスプレイは欠かせない存在といえるが、凸版印刷ブースで紹介中の次世代ディスプレイ「電子ペーパー」は常に来場者で賑わっていた。ブースでは電子ペーパーを波打たせたディスプレイや、システム手帳に挟み込めるタイプ、またカラー電子ペーパーなどの展示のほか、現行のPDAの液晶と電子ペーパーを比較し、精細さを見せるコーナーも見られた。ディスプレイでは、他にシャープが「10cm(3.7型)VGAアドバンスドシステム液晶」を参考出品。人間の眼とほぼ同様の解像度を持ち、細かい文字や写真も見やすく表示できる。現在は開発中の段階で、今年末から来年にかけてこの液晶を使用した製品を発表する方向という。
コンテンツ製作では、XMLによる組版システムやWeb構築ツールなどが多く見られた。ユニークなものでは、NTTアドバンステクノロジが“ドラッグモーションソフト”「DRAGRI(ドラグリ)」を出展。これはムービーファイルをWebブラウザー上で動かせるドラッグモーションムービーに編集するソフトで、画像上をドラッグすることでオブジェクトを動かせるのが特徴だ。例えば冷蔵庫のドアの開閉や玩具のパーツの着脱などをマウスドラッグで見せることができ、ECサイトなどで有効としている。展示では来場者を撮影し、その場でドラッグモーション化するデモを行なっていた。
オンデマンド出版では、「復刊ドットコム」などで知られるブッキング(東京国際ブックフェアへの出展)や、PDFや印刷など気に入った形態で書籍購入ができる「BOOK-2u」が出展。またプリコによるオンデマンド個人出版サービス「個人書店」は、この1年で150種の書籍を出版、5月には同サービスを利用した書籍を扱う「個人書店専門店」を銀座に開店するという。ブースでは同サービスを使った個人出版ノウハウ本も紹介していた。
「デジタルパブリッシングフェア2002」は東京ビッグサイトで21日まで開催中だ。なお同時開催の「東京国際ブックフェア」は国内出版業界最大のイベントと呼ばれ、20・21日は多彩なゲストを招いてのサイン会や、出版社による書籍の割引直販などが予定されている。本や出版に興味のある方はどちらも楽しめるだろう。
(2002/4/18)
[Reported by aoki-m@impress.co.jp]