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イー・アクセスの千本 倖生社長 |
イー・アクセス株式会社は8日、今後の事業展開などについての計画を発表した。今回の発表では、イー・アクセスの現状や米国・韓国などブロードバンド先進国との比較、今後の事業展開などについての説明が行なわれた。また、そこでは、8Mbpsの通信速度を超える“超ADSL”などの計画も発表された。
イー・アクセスの現状としては、2002年3月末での加入者数が25万件、売上は約52億円と、前年同月比で加入者数、売上ともに約13倍の増加をみせており、2002年度中にEBITDA(金利・税金・償却前利益)で黒字化を達成する予定だという。これは、ブロードバンド先進国の米国・韓国などと比較しても、多い数字であり、「近い将来、日本も米国や韓国に追いつくだろう」とイー・アクセスCOOのエリック ガン氏は語っている。
この日本のブロードバンド人口急増の要因として、以下のような「DSL事業環境の好転」を挙げた。
・NTTの回線使用料が800円から173円に
・NTTダークファイバーの全面開放
・機器コストが、昨年に比べ約2分の1から3分の1に下落した
・東京、大阪、名古屋の3都市で、インターネット人口の70%をカバーできる
このDSL事業環境の好転により、エリック氏は「当社は、海外事業者と比較して加入者数の増加や早期の黒字化の達成が可能となった」と語っている。
次に今後の事業展開について、サービスエリアの拡大やファームウェアのアップデート、8Mbps超のADSLサービスの提供などが発表された。
サービスエリアは、2002年4月末のエリア拡大により全国合計で563局舎で展開されており、今年度中に100万世帯の加入者を見込んでいるという。
また、ADSLモデムの新ファームウェアも発表された。新ファームウェアでは、昨年の8Mbpsサービス提供開始時から指摘されていた「AMラジオの干渉問題」に関して、更にノイズ耐性や、最大通信速度を向上させるもの。また、ルーター機能を利用しながらプライベートネットワーク上にある特定の一台にグローバルIPアドレスを付与することができる機能「GapNAT機能」も実装した。これにより、今まで利用できなかったグローバルIPアドレスが必要なIP電話やネットワークゲームなどのアプリケーションを利用することができる。
さらにADSLの新サービスとして、「G.dmt Annex C」規格を改良した最大通信速度10~12Mbpsを実現するサービスの提供を今秋より開始すると発表した。このサービスは、局舎間の道なり距離が1.5Km未満のユーザーを対象に、ファームウェアや一部機器の変更により、現在の最大通信速度8Mbpsを超えるサービスを提供するというもの。8月より試験サービスの提供を開始し、今秋より商用サービスを開始する。
実際に、このサービスが利用できるかどうかの判定は局舎間の距離に依存するため、現在以上にシビアな選別が必要となる。サービス提供時には、専用ツールを利用して「高速化の見込まれる線路距離長のユーザー」の判定を行なうが、最終的に利用するかどうかはユーザー自身が判断しなければならない。
また、さらに長期的な観点では、局舎間距離が0.5Km未満のユーザーを対象として最大通信速度16~20Mbps程度のサービスの開始も検討しているという。
最後にイー・アクセスの千本 倖生社長は「アッカに比べて、当社の新規加入者数が減少しているとの指摘もあるが、単月の加入者数で見てもそのような事はない。今後、日本のDSL加入者数は2,000万までいくだろう。今後当社は、CLEC(Competitive Local Exchange Carrier)として健全な財務体制を維持し、NTTと競争することが大事だ。」と語った。
また、今後の光アクセスへの展開については「当社は、決してADSL専業の『イー・ADSL』ではなく『イー・アクセス』だ。ブロードバンド環境を提供する上で、日本の現状ではADSL回線での提供が一番良いと考えており、ADSLの更なる改善開発なども行なっていくが、5年後などは光アクセスでの提供も有り得るだろう」と、光アクセスサービス提供への可能性も示唆した。
イー・アクセスCOO エリック ガン氏 |
イー・アクセスCTO 小畑 至弘氏 |
2001年度3月期と2002年度3月期の比較 | 「GapNAT機能」利用時の機能イメージ図 |
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(2002/5/8)
[Reported by otsu-j@impress.co.jp]