【イベントリポート】

インターネットホットライン連絡協議会、第3回研究会開催
「ファイル交換の状況は監視しています」~ACCSが活動内容を報告

■URL
http://www.iajapan.org/hotline/seminar/20020528.html

 財団法人インターネット協会(IAjapan)を初めとする業界団体とインターネット関連企業などで組織する「インターネットホットライン連絡協議会」は28日、都内にて第3回目の研究会を開催した。研究会は、各企業においてユーザー対応をしている実務担当者、警察関係、弁護士などを対象としたもので、講演のほか、参加団体の意見交換が行なわれた。



●インターネットでは公衆発信が日常的

 最初に社団法人著作権情報センターの相談員である原田文夫氏より「デジタル化、ネットワーク化の波紋」と題した講演が行なわれた。原田氏は普段、ユーザーからの著作権に関する相談を受けている。

 原田氏は、インターネットにおける著作権保護の条約として1996年にWIPO(世界知的所有権機関)により認められた「公衆送信権」を挙げた。現在、原田氏のもとには、この「公衆送信の範囲」についての質問が多く寄せられるという。「個人が開設したWebページ」「メーリングリスト」「メンバーを限定したWeb掲示板」を例に挙げ、原田氏は全てが「多数の人に配信する媒体」として、インターネットにおいては日常の行為が「公衆への送信に該当する」として著作物の取り扱いには十分注意するべきだとした。



●ファイル交換の状況は監視しています ~ACCS

 続いて社団法人コンピュータソフトウェア著作権協会(ACCS)の葛山博志氏より「ネット社会における侵害の実例とその対処」に関する、同協会の活動内容の報告があった。同協会は、国内外200社のソフトウェアベンダーの業界団体で、商用ソフトウェアの違法コピー撲滅運動などを展開している。

 同協会の活動としては、違法コピーに対する法的な措置を支援する「執行支援」、関係団体への提案を行なう「制度提言」、違法コピーについて知ってもらうための「普及促進」が挙げられるという。特に普及促進については、教育現場に講師を派遣して授業を行なったり、教員への支援を行なったりするなど力を入れているという。

 最近の違法コピーソフトの配布形態としては、WinMXをはじめとするファイル交換ソフトを経由したやり取りが多く、営利を目的としない「一般の人がカジュアルに行なう」傾向があるという。さらに、ACCSではファイル交換ソフトの状況を常時収集しているという。違法行為を発見した場合はソフトのインスタントメッセージ機能を用いて警告文を送信しており、その数は今年に入って7,000件にも登るという。特に悪質なケースに対しては法的を講じており、2001年11月には逮捕者も出ている。また、収集した情報から対象者のネットワーク(ISP、大学、企業など)を特定したのち、管理者を経由して対象者への警告するなど、「監視されている」という圧迫感を与えて違法コピーを減らす試みも検討しているという。

 また、ACCSのホームページへの攻撃についての経過も報告された。これは4月1日、掲示板「2ちゃんねる」にACCSのホームページに対してリロードを繰り返す事を呼びかけるスレッドが立てられ、同日23時頃、実際に膨大なアクセスが発生して同団体のページが閲覧ができなくなったというもの。ACCSでは、4月3日に「ACCSホームページに対するアクセスの集中について」として警告文を掲載し、これらの行為に対して謝罪を求めた。実際に、未成年を含む16人と面談したところ、動機のほとんどは「サーバーを落とす意図はなくおもしろ半分で行なった行為」だと判明したという。

 ACCSでは違法コピーもホームページへの攻撃も未成年が多く関わっているとして、今後は、学校での教育と、家庭での管理を広く求めていくとしている。

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(2002/5/28)

[Reported by adachi@impress.co.jp]

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