プロバイダーの業界団体である社団法人日本インターネットプロバイダー協会(JAIPA)は31日、ノンフィクション作家の山根一眞氏を招いて「プロバイダーへの私の直訴状」と題して講演を行なった。同氏は、環境問題について執筆活動を行なうため、世界各国を渡り歩きながらノートパソコンを利用しており、そのノウハウを雑誌にコラムなどで披露している。
山根氏は、「行動力のあるオバちゃんも使う時代」だとインターネット利用者の拡がりを示したが、まだまだ敷居が高いと指摘した。例として、「ID」「アカウント」「ユーザー名」などが同じ意味を指すなど、ISP同士で用語の統一ができていないことを挙げた。それを補うためにISPに対して「ユーザー同士の助け合い」の支援サービスを提案した。例えば、「ほかのユーザーに対してサポートを行なった場合、料金を安くするといった仕組みを用意したら、サポート要員を削減できる上に、新しいコミュニティーも生まれるだろう」とした。その上で、ISPがコンテンツ事業に力を入れている事に疑問を投げかけ、1人のユーザーに対して、何を売るのかを考えるのではなく、複数のユーザーが集う“場”を積極的に提供して欲しい」と述べた。
また山根氏は、以前はCATVインターネットを利用していたが「よく止まる」「複数台数の利用には追加料金が必要」などの理由でADSLに乗り換えた。しかし、家庭内のパソコンを接続して、安定した通信環境を手に入れた矢先、以前利用していたCATVインターネットが増速と利用台数制限の撤回が発表されたという。そのため「ISPほどサービス内容が頻繁に変わる商売はない」として、改善を求めていた。
最後に、クモの巣の写真を映し出し、真ん中のクモをISPに例えて「巣にかかった獲物(ビジネス)は、瞬時に捕まえて欲しい」とエールを送り、講演を終えた。
山根一眞氏 | クモは巣にかかった獲物を素早く捕獲するという |
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(2002/5/31)
[Reported by adachi@impress.co.jp]