【行政】

電力線通信のブロードバンド化
フィールド実験限定で規制緩和か?

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http://www.soumu.go.jp/joho_tsusin/policyreports/chousa/denryoku/index.html

 国内で電力線搬送通信(Power Line Communication:PLC)に使える周波数帯の拡大は、当面の間はフィールド実験での利用に限定される可能性も出てきた。総務省の「電力線搬送通信設備に関する研究会」の第4回会合が16日に開かれ、今月末にもとりまとめる予定の報告書について、研究会の座長を務める杉浦行・東北大学電気通信研究所教授が一つの方向性を提案した。

 研究会が開放の可能性について検討しているのは、2MHz~30MHz帯。これが使えるようになれば、PLCのブロードバンド化が期待できる反面、電線から漏洩する電磁波の影響が懸念される。同じ周波数帯を使っている既存の無線業務が妨害されたり、医療機器の誤作動の原因になるのではないかといった指摘である。

 そのため研究会では、関連する業界からのヒアリング調査や、実際にPLCモデムを使ったモデルハウス実験を実施。漏洩電磁波の影響や許容値などについて検討してきたが、実は測定手法の段階から模索しているのが現状である。適切な許容値などを導き出すにはまだまだデータが不足しており、早急には結論を出せないという。

 しかし、PLCの2MHz~30MHz帯対応についてルール化されておらず、まったく使用できない現在の状況がこのまま続けば、通信事業者がフィールド実験さえ実施できないと杉浦教授は指摘する。いきなり商用サービス向けに開放するのではなく、暫定的な漏洩電磁波の許容値を設定し、問題が起きた場合の措置などを規定した上で、限定的に開放すべき時期に来ているとの考えだ。

 もしも実験限定とはいえ、PLC用に高周波数帯が開放されれば、電力会社などが大規模なフィールド実験に乗り出してくる可能性もある。そうなれば、漏洩電磁波など技術的な規制面の検証はもちろん、サービス品質や採算性などのマーケティング的な側面も含めて、ブロードバンドPLCについて実用化の可能性が本格的に検討され始めることになる。

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(2002/7/16)

[Reported by nagasawa@impress.co.jp]

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