■URL
http://www.curl.com/html/about/pressreleases.jsp?id=338
米Curlは16日、Webアプリケーション環境「Curl Client/Webプラットフォーム」を発表した。これは一般的なWebアプリケーションのようにサーバーサイドでの処理を重視するのではなく、できるだけ多くの処理をクライアントサイドに持ってくることにより、アプリケーション全体の処理速度を上げようとする新たなアプリケーション環境である。CurlではMicrosoftの「.NET」やSun Microsystemsの「Java2 Enterprise Edition」などを補完する技術だと位置づけている。
「Curl」はWWWの最初の開発者であるTim Berners Lee氏などが開発した新しいWeb言語で、2001年の発表時には「Webの閲覧速度を10倍にできる」として注目を集めた。しかし今のところ多くのサイトに使われるようになってはいない。今回は、一般消費者向けではなく、エンタープライズアプリケーション環境としてCurl技術を使う環境を整えたことで新境地を切り開く可能性がある。
Curl Client/Webプラットフォームは、クライアントサイドにインストールするランタイムエンジンとアプリケーションを開発するための統合開発環境からなっている。プログラミングにはHTML、Javascript、Java、C++の良いところを組み合わせたような「Curl」言語を用いる。
ランタイムエンジンにはJITコンパイラー、グラフィックス、アニメーションやオーディオなどを担当するマルチメディアエンジン、高度なGUIシステム、データベースからの情報を解釈するXMLパーサー、HTTPネットワーキング、SOAPサポートなどの機能が含まれており、多くの処理をクライアントサイドで行なうことができる。また、統合開発環境にはVisual Basicに似たGUIエディタが含まれており、アプリケーションのGUIを素早く作り上げることが可能だ。
Curl Client/Webプラットフォームでは、サーバーサイドからクライアントサイドに情報を送る際のデータ圧縮率を40%以上高めたほか、セキュリティーを個々のユーザーが管理するのではなくネットワーク管理者がまとめて管理できるようになったことでセキュリティーポリシーの管理が容易になったとされる。
このCurl Client/Webプラットフォームはすでに独Siemens AGが採用している。Siemensによればパフォーマンスの良さとユーザビリティの高さを高く評価しているという。
このCurl Client/Webプラットフォームの価格は25,000ドルからとなっているが、試用版は無料でCurl社のサイトからダウンロードできる。なお、Curlの旧バージョンはWindowsXP環境以外では日本語利用ができなかったが、今回のバージョンでもその状況は変わっていないようだ。
(2002/7/17)
[Reported by taiga@scientist.com]